Googleタグマネージャーの管理と代理店への依頼方法
今回は、①何故管理が重要なのか、②GTMの管理を他者に依頼する際に注意しておきたいポイント、の2点を中心にご紹介します。
サイトを作った時や広告配信する際に様々な計測タグを設置することがあるかと思います。このタグはサイトのビジュアル的な面では全く影響を及ぼさないため軽視しがちになってしまいますが、実は非常に貴重な会社の資産であります。
GTMなどのタグマネージャーで管理する場合、権限を持っていればサイト上のタグをすべて管理出来てしまうため、適正な管理と権限で運用しないと思わぬ所でリスクが発生してしまいます。
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「自社でGoogleタグマネージャーを使うのはもうムリや…」とあきらめてしまった方は、以下のボタンから弊社にご連絡ください。貴社に代わってプロが設定をいたします。ご相談は無料ですので、いつでもお気軽にお問い合わせください。
目次
タグで計測・蓄積されるデータは会社の大切な資産
情報社会となっている現在、情報はとても大きな資産です。
Google、Yahoo!、大手メディアをはじめ各企業が持っている「ビッグデータ」やそこから作られる個人属性「パーソナルデータ」など様々な形で情報が活用されています。例えば、メディアサイトはサイト内に訪れたユーザーのデータを保有しており、それらのデータをネットワーク広告側に提供することで、ネットワーク広告が「特定のセグメントへの配信」を実現しています。
具体例をあげると、不動産のポータルサイトが保有しているユーザーデータは不動産販売している企業からしたら喉から手が出るほど欲しいリストですよね?
このように「他社が欲しがる自社で集めたデータ」というのは思っている以上に価値が高いものであります。
管理を野放しにしていると発生する思わぬリスク
GTMに限った話ではないですが、管理を委託するというのはそれなりにリスクもあります。GTMでは大きく分けて2つの管理機能があり、アカウントは2つの権限、コンテナは4つの権限があります。まずはアカウントとコンテナの役割、権限を説明します。
▼アカウントの管理
・企業単位で発行するID
・コンテナデータを取り扱うユーザーの管理する
・権限はユーザーの追加・削除が行える「管理者」と管理機能がない「ユーザー」の2種類
▼コンテナの管理
・サイト・サービス単位で発行するID
・タグやトリガーの設定はコンテナ単位で行う
・権限は設定の公開が可能な「公開」、ワークスペース・バージョン作成までが可能な「承認」、タグ・トリガーの編集までが可能な「編集」、読み取りのみが可能な「読み取り」の4種類
アカウント管理におけるリスク
企業のリスクとなるアカウント管理におけるリスクの一部を紹介します。コンテナの管理は委託している領域内であり、リスクというよりは運用不備という位置づけになるため、こちらはまた別の記事にてご紹介します。
【事象1】
企業規模が大きく事業部毎で異なる代理店に委託しているときに、代理店にアカウントの管理権限を与えてしまう。
【リスク】
各事業部がどこの代理店を利用しているかがわかってしまう。
→他部署が委託している競合代理店の規模が小さい場合、代理店の営業が他部署へリプレイスの営業をしてくる可能性がある
→他部署の代理店がどこかを開示していなくても代理店側に知られてしまう。
【事象2】
GTMにログインできなくなった。
【リスク】
管理者から外されたため、GTM上での操作が不可能になる。
→GTMタグの貼り替えが必要かつどのタグが設定されていたかの情報などが別途管理していない場合、修復不可能になる。また、自社に関係ないタグが設置される可能性もある。
我々代理店からする“ありえない行為”ではありますが、“できるできない”の領域で考えるとできてしまうため、最大のリスクとして覚えておきましょう。 アカウント管理権限の付与がどうしても必要な場合は、期間を設けて一時的な付与にすることをお勧めします。
基本的にアカウント管理の管理者権限は自社のアカウントのみにしましょう。
無法地帯となった管理画面をルール統一で一掃
媒体ごとに異なる代理店に委託している場合、広告主側からルールが定められていないと各代理店が各々のルールで作成する可能性が非常に高くあります。最終的に管理するのは広告主側であるため、事前にレギュレーションを作成することで管理の手間を削減させましょう。
タグ、トリガーの命名法則を作る
“いつ”、“誰が”、“何を”作ったかわかりやすくするために命名法則を作りましょう。法則例として「【代理店名】媒体名_機能名_作成日」で作成した場合、下記のようになります。あまり長い名前にすると視認性が悪くなってしまうため、媒体や機能などは2~3文字の略語を用いることをお勧めします。
(略語は英語で頭文字以外は子音で作るのが一般的です。Count→Cnt、Address→Addr、Average→Arg 等々)
▼タグ
例1:【A社】YDN_RM_20200801
A社が2020年8月1日に作成したYahooディスプレイ広告のリターゲティングタグ
Yahooはリターゲティング、Googleはリマーケティングが正式名称ですが、フォーマット統一を優先してRM(リマーケティング)の英略とする
例2:【B社】FB_PX_20200720
B社が2020年7月20日に作成したFacebookピクセルコードタグ
▼トリガー
法則例:【代理店名】ページ名_機能名_作成日
例1:【C社】サンクスページ_含む_20200610
C社が2020年6月10日に作成したサンクスページのみのトリガー
例2:【D社】トップページ_除く_20200505
D社が2020年5月5日に作成したトップページを除くトリガー
不必要に同じタグ、トリガーを作成しない(まとめる)
「正規表現」でまとめられるトリガー、タグはまとめましょう。特にコンバージョンポイント(ページ)は異なるが、タグは同一のものに対して、別々のトリガーを作っているケースが見られます。
「変更したつもりがもう片方はそのままだったので計測に不備が出てしまった」などの失敗談は筆者も何回か耳にしたことがあります。
正規表現でまとめられていないケース
ページURLがまとめられないためトリガーを別々で作成している。
タグ側で作成した2つトリガーを設定している。
正規表現でまとめたケース
正規表現でthanks.htmlとcomplete.htmlの両ページを1つのトリガーとして設定。thanksとcompleteの間にある|(半角縦棒)は正規表現上でorの意味を持ちます。また、()内でまとめているため、 thanks or complete という意味になります。そこから.htmlを繋げているため、thanks.html or complete.html が条件となります。
※ドットの前にバックスラッシュがありますが、こちらはエスケープ文字といい「ドットを正規表現の記号としては扱わず、見たままのドットとして扱う」という機能になります。
使用頻度の高いデータは定数・変数化する
GTMなどのタグマネージャーは「1つの設定で全ページに適応される」所であるが、それはGTMの設定内部にもいえることです。複数回に渡り使用される値は「定数」「変数」化して、「仮に大元の設定変更があった際、定数・変数側を変えるだけですべて反映される」状態にしておきましょう。
「変数」のメニューより 変数の設定 > Googleアナリティクス設定 を選び、対象となるトラッキングコード(GoogleアナリティクスのUA-から始まるID)を入力。
{{名前}}で書かれている項目を選択。これで毎回同じトラッキングコードを記載する必要がなくなる。
代理店単位でフォルダ分けをする
複数代理店が同じコンテナ内のタグを管理する場合、他の代理店が誤った操作をする可能性もあります。誤った操作をしてしまっても履歴から設定を元に戻すことは簡単ですが、その間失われたデータは戻ってきません。代理店毎や媒体毎など権限や用途に合わせてフォルダを分けて管理しましょう。
用途に合わせてタグを管理。不要なトラブルを回避しましょう。
タグ管理シートを用いて共有管理する
リストを作ることで現状の設定の把握、共有をしやすくしましょう。複数人で管理する場合はバージョン違いが発生する可能性もあるため、スプレッドシートなどで管理するとより管理がしやすくなります。
簡単ではありますが、筆者は下記のようなデータをローカルで保有してタグを管理しています。ローカルで持っておくことで「すぐに取り出せる」、他案件で基本設定を流用するときに「すぐに設定に取り掛かることができる」といったメリットもあります。
まとめ
複数の代理店、様々なWEB広告媒体の利用、ページの改修によるURLの変更などにより、タグの管理はより複雑になってきます。整理するタイミングを逃すと「前の代理店が未だに権限を持っている」、「このタグは何のために貼っているか不明なので、そのままにしておこう」など管理ができない方向へより向かってしまいます。
設定の管理は「自分だけが把握していればいい」となりがちですが、冒頭でお伝えした通り、会社の貴重な資産の管理であるため、メンテナンス性の高い運用を心がけましょう。
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