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2025.09.10 更新
2025.09.10 更新

【初心者向け】リスティング広告の分析方法から改善施策まで解説

Written By
R.Y

コンテンツプランナー

リスティング広告の成果を分析するとき、”何から手をつけていくべきか”迷った経験はないでしょうか。適切な分析手順を理解できていないと、無駄な作業が増えたり、根本的な対策を打てず成果改善に至らない場合があります。
この記事ではリスティング広告の分析から改善までの手順を解説します。適切な分析方法を理解することで、迷わず効果的な対策を打てるようになります。
また本記事では「予算を変えずにCPAを下げて、CVを増やす」ことを目標として解説します。

リスティング広告の分析手順

リスティング広告の分析から対策までの流れは以下の通りです。

1.悪化した箇所を特定する
2.要因を特定する
3.対策を実施する

重要なポイントは、対策を実施する前に成果が悪化している要因を特定することです。
要因を特定せずに対策を講じることは”医者が患者の診断をせずに薬を処方する”ようなもので、根本的な解決にはなりません。

1.悪化した箇所を特定する

まずリスティング広告の成果が悪化した箇所を特定します。
手順は下記の通りです。

(1)悪化した指標を特定する
(2)悪化しているキーワード、検索クエリを特定する

(1)悪化した指標を特定する

最初に悪化した指標を特定します。
まずキャンペーン階層で成果が悪化する前後のデータを比較します。
広告成果を比較する際は、配信期間など比較するデータの条件を揃えることを意識しましょう。

先月比の成果を確認すると、CPAが¥17,857から¥22,727へ悪化していました。
CPAを要素分解するとCPA=CPC÷CVRの計算式で表すことができます。
CPA=CPC÷CVRの関係から、「CPAを下げる」には「CPCを下げる」か「CVRを上げる」必要があることがわかります。
そのため「CPAを下げたい」場合、確認すべき指標はCPCとCVRの変化です。
上表の成果ではCVRは誤差程度の変化ですが、CPCは82円高くなっています。そのため、悪化した指標は「CPC」です。

▼チェックポイント
「CPAを下げたい」とき、まずはCPCとCVRの変化を見るのが基本
▼確認結果
悪化した指標は「CPC」

(2)どのキーワード・検索クエリで悪化しているか確認する

前項で特定した悪化した指標(CPC)がどこで悪化しているのか、キャンペーン階層など大きな粒度から見ていき、最小の粒度であるキーワード・検索クエリまで絞り込んで特定します。

今回の例では、CVが多い主要キーワード「広告代理店」のCPCが高くなっていることが確認できました。


複数のキーワードでCPCが高くなっていることが確認できますが、まずはコスト、CV数が最も多い「広告代理店」キーワードを改善の対象とします。
全体の成果へ大きく影響する(=CPAの大幅な改善が期待できる)箇所から優先して改善したいためです。
今回の場合は、「広告代理店」のコストとCV数が全体の約半数を占めているため、成果の変動がキャンペーン全体に大きく影響すると考えます。

▼チェックポイント
成果が悪化している「キーワード」と「検索クエリ」まで特定する
▼確認結果
CVが多い主要キーワード「広告代理店」でCPCが82円上昇

2.要因を特定する

キーワード・検索クエリ階層での悪化指標の特定が完了したら、要因分析に取り組みます。
要因を特定する手順は以下の通りです。

(1) 仮説を立てる
(2) 管理画面レポートから情報収集する
(3) 外部ツールを利用する

(1)仮説を立てる

特定した悪化指標に対して仮説を立てます。
下記のカテゴリを参考にCPCが上昇した仮説を立ててみましょう。

①入札
・自社が入札単価を変更
・競合が入札単価を強化
・機械学習の影響
仮説:競合他社が入札を強化した影響で、自社のCPCが上昇したのではないか

② 広告の品質
・品質スコアの低下
└推定クリック率の低下
└ランディングページの利便性の悪化
└広告の関連性の悪化
仮説:広告のリンク先HPのファーストビューを先月変更したことで、ランディングページの利便性が悪化したのではないか

例えば「CPCが悪化する直前に入札単価の変更はしておらず、広告やLPの変更もしていないことから、内部要因は考えにくい。そのため、外部要因である競合の影響が考えられそうだな」というように、配信状況を踏まえて仮説を考えます。

▼補足
CPCは”オークション”によって決まるため、仕組みを知っておきましょう。
詳細は下記をご確認ください。

(2)管理画面のレポートから情報を収集する

直近の状況を踏まえ、仮説を裏付ける情報を収集します。
本記事では一例として、①入札の仮説「競合他社が入札強化をした影響で、自社のCPCが上昇したのではないか」について情報を収集します。
競合を分析する方法は複数ありますが、まずGoogleの管理画面で確認できるオークション分析レポートを使用します。オークション分析レポートではキーワード「広告代理店」において、新規競合が参入していないか、競合企業が入札を強化していないかを推定できます。

Google広告のオークション分析については下記の記事をご参照ください。

キーワード「広告代理店」のオークション分析レポートから、競合A社が新規参入していることが確認できました。また競合A社は自社よりもインプレッションシェアが高く、重複率が約35%であり3回に1回以上は自社広告と同時に表示されています。このことから、競合A社と自社の入札額が競り合っており、競合A社の影響で自社のCPCが引き上げられている可能性が考えられます。

▼キーワード「広告代理店」のオークション分析レポート

▼推定要因
新規参入した競合A社の影響で、自社のCPCが引き上げられている可能性

(3)特定できない場合は外部ツールも活用

レポートや管理画面で要因が分からない場合、外部ツールの活用を検討します。
本記事では主要な外部ツールを2つご紹介します。

GA4(Googleアナリティクス4)

ウェブサイトへ訪問したユーザーの行動を分析するアクセス解析ツールです。
GA4では、広告管理画面では見られない指標を確認できます。

ユーザー行動指標:セッション数、ページビュー数、滞在時間、直帰率、コンバージョン率、イベント追跡など

ユーザーのサイト内での行動を詳細に分析することで、広告効果をより正確に把握できます。

参考ページ:Google Analytics

Googleトレンド

Googleが提供する、キーワードの検索需要の推移をグラフでチェックできるツールです。
検索ボリュームの推移を確認することで、季節性、地域差などの市況の変化を確認できます。

参考ページ:Googleトレンド

3.対策を実施する

要因が特定できたら、要因を解消するための対策を実施します。
要因を特定できていない場合も、CPCの改善が必要な状況です。そのためCPCを下げる施策を実施しましょう。

(1)要因が特定できている場合

前章ではCPC上昇の要因として、競合A社の新規参入が影響している可能性があることがわかりました。そのため、この要因に対応した対策を打ちます。

▼推定される要因
新規参入した競合A社の影響で、自社のCPCが引き上げられている
▼対策例
不足している広告文(アセット)を追加することで品質スコアの改善を図る。

まずは広告管理画面で改善したい広告をクリックします。


するとクリックした広告の”広告の有効性”を確認できます。”広告の有効性”は、「低い」、「平均的」、「高い」、「非常に高い」の4段階で評価されます。これらは広告文がGoogleの推奨する設定にどの程度沿っているかを示すものです。広告文をGoogleの推奨する内容に近づける(広告の有効性を高める)ことで、Googleから品質が良い(品質スコアが高い)と評価されると考えられます。
下図の場合、「よく使われているキーワードを広告見出しで使用してください」の項目が評価を満たしておらず、改善する余地のあることが確認できます。広告文(アセット)を追加することで、品質スコアの改善が見込めます。

▼広告文を作成するヒント
・CV獲得実績のある検索クエリを含んだ広告見出しを作成
・LPの訴求内容をもとに作成
・属性別の配信実績の分析内容から作成(例:男性ニーズが高い場合、男性向けの広告見出しを作成するなど)

(2)要因が特定できていない場合

要因が特定できていない場合はロジックツリーに沿って、CPCを下げるための対策を実施します。

▼対策の例
・入札を抑制する
・広告の品質スコアを改善する

広告の品質スコアの改善については下記の記事をご参照ください。

ただし、要因がわからないまま行う対策は根本的な改善には繋がりません。
例えば、CPCが上昇している場合において、入札を引き下げれば一時的にCPCは下がります。しかし要因が「品質スコアの悪化」であった場合、品質スコアを改善しない限りは根本的な解決にはなりません。さらに、入札を引き下げたことによって広告の掲載順位が下がり、LPへの流入数やCV数が減少してしまうおそれもあります。

4.分析と対策を繰り返す

リスティング広告を効果的に運用するためには、「悪化した箇所を特定する」→「要因を特定する」→「対策を実施する」という流れを繰り返すことが重要です。一度ですべて解決するわけではないため、何が上手くいくのか検証を重ねて、効果的な施策を見つけていきましょう!

広告の成果を分析し改善していくことは難易度の高い作業です。
広告を運用している中で下記のようなお悩みはないでしょうか。

「具体的にどの指標を見ればよいか、わからない」
「現在の広告アカウントに改善の余地があるか知りたい」

弊社では無料で広告アカウントの診断を承っております。
リスティング広告だけでなく、Web広告の運用でお困りのことがあれば、お気軽にお問い合わせください。

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R.Y

コンテンツプランナー

広告運用コンサルタントとして入社後、2024年にマーケティングチームへ異動。広告運用の経験を活かし、自社サイトのコンテンツ制作を手掛けている。 幼少時代から尋常ならざる脚力を持ち合わせており、「本気を出せば徒歩でイタリアまで行ける」と豪語する。通称【プライムナンバーズの黒豹】