Webマーケターとは?広報だけじゃない!役割と必要スキル
近年パソコン・スマートフォンの普及によりネット利用者は激増しており、それに伴いネットを利用して商品の購入や、問い合わせなどの購買行動を行うユーザーの数も増えています。
そんな現代において、注目度が増している仕事の一つに「Webマーケター」があります。
今回はWebマーケターという職種が具体的にどんな仕事をしているのか、そしてどんな能力が必要なのかについて解説します。
目次
Webマーケターの仕事内容
そもそもマーケティングとは、商品・サービスが売れる仕組みを作ることをいいます。これをWebの領域で行うのがWebマーケティングです。
Webマーケティングでは具体的に以下のことをおこないます。
- 市場分析
- 営業戦略設計
- 広報宣伝活動
分析・戦略立案・広報を通して、Webから問い合わせを獲得する、Webからの売上を増やすなどの目標達成することがWebマーケターのミッションです。
それぞれ詳しく解説します。
市場分析・営業戦略設計
市場分析・営業戦略設計は、市場動向の分析結果をもとにどの商材・サービスを誰に訴求するかを決めるためにおこないます。
設計をもとにコンテンツの内容を立案し、Webサイトを作ることがWebマーケティングでは重要です。市場分析・営業戦略設計は、業務的には連動している部分が多いので、まとめて業務内容をご紹介します。
市場分析・営業戦略設計にはさまざまな方法がありますが、次の2つのフレームワークが代表的です。
- 3C分析
- SWOT分析
それぞれ解説します。
Webマーケティングのフレームワーク➀3C分析
3C分析の3つの「C」とは「Company(自社)」「Competitor(競合)」「Customer(市場・顧客)」を指します。
自社にかかわる3要素を分析することで、自社の成功要因を発見することが目的です。
各項目では、次のような内容を分析します。
Company(自社)
自社の売上・経営資源・技術・収益などの情報、自社の強みと弱み、自社が提供できる価値、自社のリソースなどを整理します。Webマーケティングでは、どんなコンテンツを有しているか、ネットから問い合わせできる環境があるか、ネット通販が出来る環境があるかなど、自社サイトの状況も整理する必要があります。
Competitor(競合)
競合相手の特定、競合の市場シェア、競合相手の強み・弱み、競合の売上などのビジネス結果、ビジネス結果を出した要因などを分析します。Webマーケティングでは、競合相手はオフライン上で想定している会社とは異なる可能性があります。検索エンジンで上位掲載される会社や、広告掲載している会社、SNSのアカウントを保持している会社など、Web上で登場する機会が多い会社が競合です。
Customer(市場・顧客)
市場規模や市場の成長性、顧客のニーズや顧客の購買意欲・能力を分析します。Webマーケティングでは、自社が売り出したいと考えている商材やサービス名などのキーワードの検索量やその推移、サジェストキーワードの確認などをおこないます。
Webマーケティングのフレームワーク②SWOT分析
SWOTとは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を指します。
市場のトレンドや競合の状況など自社を取り巻く外部環境と、自社の資産やブランド力、価格・品質といった内部環境を、プラス要因(強み・機会)とマイナス要因(弱み・脅威)に分類して分析する手法です。
SWOT分析では、自社サイトを持っている、自社サイトのコンテンツの内容、ECサイトの有無、SNSアカウントの有無など、Webサイトの内容も考慮に入れて分析してください。
具体的には下記の点を分析・整理します。
Strength(強み)
自社や自社商品の持つ強み・長所や得意とするところ。
Weakness(弱み)
自社や自社商品の持つ弱み・短所や苦手とするところ。
Opportunity(機会)
社会や市場の変化により、自社や自社商品にとってプラスに働く要因。
Threat(脅威)
社会や市場の変化により、自社や自社商品に悪影響を及ぼすと考えられる要因。
広報宣伝活動
市場分析・営業戦略で立案した内容をもとにWebサイトを制作したら、次はWebサイトを見てもらう方法を考えましょう。Webサイトにユーザーを集める手法は複数あります。
代表的な以下の4つの手法を解説します。
- 検索エンジン最適化(SEO)
- Web広告配信
- SNS
- メルマガ
集客手法➀検索エンジン最適化(SEO)
SEOとは、Googleなどの検索結果で上位に掲載されるようにWebコンテンツを作成することです。
検索頻度の高いキーワードで上位掲載されると、無料で多くのユーザーに自社のコンテンツを見てもらえます。
検索結果の掲載順位を決めているのはGoogleなどの検索エンジンです。そのため「SEOはユーザー度外視で検索順位だけを追い求める施策」と考えられていたこともありますが、現在はこの考え方は誤りです。
Googleはあくまでもユーザーの課題解決に有益と思われる記事を上位に表示することを目指しています。コンテンツの評価基準は明確にされていませんが、原則としてGoogleが公式に発表している「ガイドライン」に沿ったコンテンツを作ることがSEOにとって最も重要な作業です。
たとえばガイドラインではコンテンツの内容について、できる限り質を高めることを推奨しています。
人を引きつける有益なコンテンツを作成すれば、このガイドで取り上げている他のどの要因よりもウェブサイトに影響を与える可能性があります。ユーザーは閲覧したときに良いコンテンツだと感じると、他のユーザーに知らせたいと思うものです。その際、ブログ投稿、ソーシャル メディア サービス、メール、フォーラムなどの手段が使われます。
クチコミによる自然な評判はユーザーと Google の両方に対してサイトの評価を高めるのに役立ちますが、質の高いコンテンツなしにそうした評判が生まれることはめったにありません。
Google 公式 SEO スターター ガイド | Google 検索セントラル
集客手法②Web広告配信
広告を出すことで、自然検索に加えてユーザーが自社サイトを見る流れを新たに作れます。
広告配信すること自体はそれほど難しい作業ではありませんが、広告配信媒体の選定、成果の集計・分析などは専門的な知識が必要です。
Web広告の種類は、大きく分けると次の3つです。
- 純広告
- 運用型広告
- 成果報酬型広告
それぞれ、おおまかに説明します。
こちらの記事でWeb広告の代表的な媒体や仕組みについて、より詳しく解説しています。
純広告
純広告は料金を支払えば必ず決められた期間、または回数の広告配信が保障される広告です。料金は広告掲載前に支払う必要があり、期待した成果が出るかどうか分からない状態で投資をしないといけません。また購入後に広告内容を修正したり配信停止したりといった急な変更は対応できないこともあります。Web広告においては約10%程度のシェアを占めています。
運用型広告
運用型広告はオークション形式で広告掲載が決まる広告です。Googleなどの広告媒体が広告やWebサイトの内容、広告主の入札額を評価し、評価の高い順に広告が掲載されます。オークションで高い評価を得られなければ広告を入稿しても表示されない可能性があり、成果を見ながら修正・停止などをおこなう運用作業が必要です。料金は広告がクリックや表示されるたびに発生する後払い方式です。検索結果画面にテキスト形式の広告が表示されるリスティング広告や、Webサイトに画像形式の広告が表示されるディスプレイ広告、SNSに表示されるSNS広告などが代表的な運用型広告です。現在Web広告の約80%を占める広告であり、Web広告の中核をなしています。
成果報酬型広告(アフィリエイト広告)
商品の購入や申込などユーザーがアクションした時に費用が発生する形式の広告です。第三者にブログ記事などで自社の商材を紹介してもらい、商品購入など広告主が立てた目標が達成されると紹介者に報酬が支払われます。成果に応じて費用が発生するため、確実にコストに応じた成果を挙げられます。一方、紹介者の力量に応じて成果の振れ幅が大きくコスト管理が難しいことや、報酬の設定によっては紹介者が集まらず広告量が確保できないこと、紹介者のコンテンツの質が悪くブランドイメージが下がる可能性があることなど、リスクもあります。成果報酬型広告は、現在Web広告の約10%を占める広告です。
集客方法③SNS
TwitterやLINEなどのSNSを利用し、ユーザーをサイトに集めることもできます。
基本的に無料で利用できることや、いわゆる「バズり」が起きれば非常に多くのユーザーに情報を届けられることなど、SNSは宣伝にはもってこいの媒体です。投稿内容しだいでは企業のブランド力を高めたり、ユーザーのロイヤルティを高めるといった効果も期待できます。
しかし本格的にSNS運用をしようと思うと細かな作業が多く、業務のリソースが不足しがちです。不適切な投稿などで「炎上」すると、企業イメージを損なう可能性もあります。
SNSをはじめることは簡単ですが、気軽さとは裏腹に、成果を挙げるには高い計画性と「運」が必要な集客手段と言えるでしょう。
集客方法④メールマガジン
メールマガジンを配信し、メール経由でユーザーをサイトに誘導します。これまでに紹介した集客方法に比べ、既存ユーザーに対する施策という性格が強い方法です。
メールマガジンの配信は、専用のツールを利用しておこなうのが一般的です。ツールを使わない配信も可能ですが、配信ツールを使うことで簡単にユーザー管理・メルマガ作成・成果分析などがおこなえます。
メールマガジンの成果は、配信対象となるメールアドレスの量に大きく依存します。メールマガジンの内容も重要ですが、まずは配信量を確保することが重要です。
Webマーケターに必要な能力
Webマーケターとして仕事をする際、ベースとなる能力について解説します。
実際には業界・企業・事業内容などによって求められる具体的なスキルはさまざまですが、以下のスキルを身につけることでマーケターとしての地力アップにつながるはずです。
情報収集能力
Web市場は、トレンドの傾向により大きく変動するため、常に情報を収集する必要があります。特に競合のWebサイトや広告の確認、Web媒体のアップデート情報の確認など、多くの情報を収集しなければなりません。変化に柔軟に対応し新しいことにチャレンジする姿勢は、Webマーケターとしての基本とも言えるでしょう。
論理的思考力
Webマーケターは営業戦略や、集客施策の分析・提案をおこないますが、個人の直観にもとづく提案ではなく、数値データに基づいた論理的な提案である必要があります。数値の集計、成果要因の分析、仮説の立案など、業務全体をとおして論理的に考える力が求められます。
コミュニケーション力
Webマーケターの立てた施策は、おおむね実働部隊が実行します。実働部隊が社内であれクライアントであれ、施策について十分な説明をおこなう必要があります。施策の考案者にとっては分かりきった内容でも、実行者にとっては自明でないことも少なくありません。時には現場の意見を聞いて、施策を修正する必要もあるでしょう。Webマーケターとして結果を出すには、コミュニケーション力は重要です。
Webマーケターは今後さらに重要になる
Webマーケターの仕事領域は多岐にわたり、様々な知識や経験が必要になるポジションです。
インターネットの利用者・インターネットで物を買うユーザーは、どちらも年々増えています。それに伴い、これからの企業が事業を拡大するためには、今後ますますWebマーケターの力が必要になると予想されます。
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