広告成果改善のコツがわかる3つの目的別ケーススタディー
広告の配信結果を正しく分析できていないと、余分な予算を費やしていることに気づかなかったり本来獲得できるCVを獲得できなくなったりと損をしてしまいます。
本記事では、広告成果を改善するコツがわかるケーススタディーを3件ご紹介します。
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指標の分析方法
配信結果が出たら、「課題を抽出→要因を特定→対策を練る」の順で成果改善を行うようにしましょう。
広告運用は”成果が出たら終わり”ではありません。その成果から課題を見つけ、適切な施策を行い、またその成果を分析し…という流れを積み重ねていくものです。
成果を分析する際、注目すべき指標はその広告の配信目的によって異なります。
認知拡大目的(インプレッション獲得目的)の場合
認知拡大を目的としている広告の場合は、表示単価(CPM)に着目します。
表示単価(CPM)は、広告が1,000回表示されるごとに支払う単価のことです。
単価が安いほど、少ない予算で多くのユーザーにリーチできていることになります。
インプレッション獲得目的のディスプレイ広告を配信している案件において、去年の3月と今年の3月の成果が次のようになっていたとします。
この場合、2023年4月と2024年4月では結果がどう変化したといえるでしょうか?
期間 | 2023年3月 | 2024年3月 |
表示回数 | 4,200,000 | 3,800,000 |
費用 | ¥260,000 | ¥260,000 |
表示単価(CPM) | ¥62 | ¥68 |
結果からわかる課題
前年比でCPMが6円高くなっています。
これは「同じ額の費用をかけているのに広告の主な目的である表示回数が減っている」状態です。つまり、表示回数を保ちたければより多くの費用をかけなければならない”損”な状況ということになります。前年と同じ表示回数を確保するには追加で27,200円も必要です。
考えられる要因
CPMが上昇した原因として、下記が考えられます。
■広告の配信先(ターゲット)を絞りすぎている
配信先が少ないと限られた配信先の中で表示回数を増やそうとする機械学習が働き、CPM
の上昇に繋がります。
■競合も同様の広告を出稿している
広告枠を他社と競っている状況だと、表示機会を奪い合うことになりCPMが上昇します。
対策
競合の広告の出稿状況はコントロールすることができないので、直接的な対策はできません。コントロールが可能な範囲でできる対策は下記のとおりです。
■広告の配信先(ターゲット)設定を見直す
ターゲットを拡大するとCPMが改善する可能性があります。
類似ユーザーの利用などでターゲットを広げられないか確認してみましょう。
ただし、広げすぎるとかえって成果が悪化してしまうため注意が必要です。
ターゲットを適切に絞ることでCPMが改善する場合もあります。設定を誤ると想定とは異なるターゲットに配信され、本来競合しないはずの広告と競合してしまう可能性があります。
ターゲットが絞られすぎていないか・商材と関係のないターゲットにまで広告が表示されていないか、ターゲティング設定を見直してみましょう。
クリック目的(サイト誘導目的)の場合
クリックの獲得・サイトへの誘導を目的としている広告の場合は、クリック単価(CPC)に着目します。
単価が安いほど、少ない予算で多くのユーザーをサイトに誘導できていることになります。
検索広告を配信している案件において、去年の3月と今年の3月の成果が次のようになっていたとします。
この場合、2023年4月と2024年4月では結果がどう変化したといえるでしょうか。
期間 | 2023年3月 | 2024年3月 |
表示回数 | 3,800,000 | 3,000,000 |
クリック数 | 160,000 | 100,000 |
クリック率(CTR) | 4.21% | 3.33% |
クリック単価(CPC) | ¥6.30 | ¥10.00 |
費用 | ¥1,000,000 | ¥1,000,000 |
結果からわかる課題
クリック単価(CPC)が約4円上昇しています。
これは「同じ額の費用をかけているのに広告の主な目的であるクリック数が減っている」状態です。つまり、クリック数を保ちたければより多くの費用をかけなければならない”損”な状況ということになります。前年と同じクリック数を獲得するには追加で600,000円も必要です。
考えられる要因
CPCが上昇した原因として、下記が考えられます。
■入札単価を高く設定しすぎている(手動入札の場合)
入札単価が必要以上に高いと、クリック単価が上昇しすぎてしまうおそれがあります。
■単価の高いキーワードにばかり配信されている
同じキーワードを設定している競合が多い場合、オークションで競われることで単価が上昇していることがあります。
そのような単価が高いビッグワード(=検索される回数が多いキーワード)にばかり配信されていると、単価が上昇するだけでなくターゲットも絞りきれず、適切なターゲットに効率よく配信することができなくなります。
対策
■入札単価を見直す(手動入札の場合)
設定している入札単価と実際のクリック単価を見比べて、入札単価の方が明らかに高いようなら入札を弱めましょう。
弱めた入札単価で問題なく配信されるようなら、全体のクリック単価も抑えつつ配信を継続できます。
■キーワードを見直す
商材との関連性が高く単価が安いキーワードに配信できれば、ターゲットの質を改善しつつ単価を抑えることができます。
「検索クエリ」を確認し、検索されているにもかかわらずキーワードとして設定していないキーワードがあれば追加しましょう。
またGoogleの無料ツール「キーワードプランナー」でも、適切なキーワードを見つけることができます。
参考ページ:キーワード プランナーで最適なキーワード選択
入札単価が高すぎるビッグキーワードへの配信をやめる場合は、配信ボリュームが大きく落ち込むことを防ぐために新しいキーワードを多めに追加することをおすすめします。
コンバージョン獲得目的の場合
コンバージョン(予約・購入など)の獲得を目的としている広告の場合は、コンバージョン単価(CPA)に着目します。
単価が安いほど、少ない予算で多くのコンバージョンが獲得できていることになります。
検索広告を配信している案件において、去年の3月と今年の3月の成果が次のようになっていたとします。
この場合、2023年4月と2024年4月では結果がどう変化したといえるでしょうか。
期間 | 2023年3月 | 2024年3月 |
表示回数 | 1,000,000 | 900,000 |
クリック数 | 100,000 | 100,000 |
クリック率(CTR) | 10.00% | 11.11% |
クリック単価(CPC) | ¥10 | ¥10 |
費用 | ¥1,000,000 | ¥1,000,000 |
コンバージョン | 100 | 80 |
コンバージョン率(CVR) | 0.10% | 0.08% |
コンバージョン単価(CPA) | ¥10,000 | ¥12,500 |
結果からわかる課題
前年比でCPAが2,500円上昇しています。
同じ数のコンバージョンを獲得するためには追加で250,000円も必要な状況で、CV獲得の効率が悪化していることがわかります。
CTRは上昇しているため一見成果が良くなっているように思えますが、これは表示回数の減少に伴うもので成果の改善ではありません。
CTRはクリック数÷表示回数で求める割合のため、表示回数が減ると必然的に上昇します。
考えられる要因
CPAの上昇はCPCの上昇が原因となることがありますが、上記の例はCPCが変わっていないため、CVRの低下が原因と考えられます。
CVRの低下は、クリックしたユーザー数に対しCVに至るユーザー数が減少している場合に起こります。
この原因としては下記が考えられます。
■フォームの入力率(入力完了率)が低い
CVに至るために必要な申込みフォームや購入フォームの入力項目が多すぎると、ユーザーが入力途中で離脱してしまいます。
またフォーム自体の場所がわかりにくい場合なども、ユーザーがフォームにたどり着けずに入力率が低くなります。
■関係のないキーワードでの流入が多い
商材と関係のないキーワードで流入したユーザーがCVに至る確率は低いため、CVRが低下することになります。
対策
■フォームの入力項目を最小限にする
途中で離脱するユーザーが少なくなるように、入力項目を最小限にしておくと良いでしょう。その他にも適宜EFO(エントリーフォーム最適化)を行い、ユーザーが入力しやすいフォームにしましょう。
■関係のないキーワードを除外する
クエリ別レポートを見ると、どんなキーワードで検索したユーザーに広告が表示されたかを確認することができます。
無関係のキーワードでの流入が多ければそのキーワードは除外しましょう。
月に1~2回程度の頻度でクエリの精査を行えば、CVRを改善できる可能性があります。
「課題・要因・対策」の分析で成果を改善する
やみくもに思いつきの改善策を試していても、成果の改善にはなかなか繋がりません。
成果が落ち込んだ要因をきちんと改善できる対策を実施しましょう。