Meta広告のカスタムオーディエンスで「無駄打ち」をなくす!ターゲティング精度を上げる方法とは?
Meta広告で利用できるターゲティング「カスタムオーディエンス」は、”自社と何かしらの接点を持ったユーザー”に絞って広告を配信できる機能です。FacebookやInstagramの利用者の中から条件に合うユーザーを見つけ出し、その人たちに絞って広告を配信できます。
本記事では、Meta広告のカスタムオーディエンスの基本的な知識や設定方法・活用方法を初心者にもわかりやすく解説します。
目次
カスタムオーディエンスとは?
カスタムオーディエンスは、「自社と何かしらの接点を持ったユーザー」をMeta(Facebook・Instagram)の利用者の中から見つけ出し、その人たちに絞って広告を配信できる機能です。
「何かしらの接点」とは主に下記を指します。
■過去一度でも、サイト全体や特定のページを閲覧した(例:TOPページ、商品詳細、ブログ記事)
■カートに商品を入れたが、購入に至らなかった
■問い合わせフォームや会員登録ページにアクセスした
■実際に過去に取引した顧客であり、電話番号などの情報が手元にある
これらは大きく下記の4種類に分けられます。
| 種類 | 元となるデータ | 活用例 |
| ウェブサイトカスタムオーディエンス | 自社のウェブサイトへの訪問履歴 | 過去30日以内に特定の商品ページを見た人、カートに商品を入れたが購入しなかった人など |
| カスタマーリストに基づくオーディエンス | 既存の顧客情報(メールアドレス、電話番号、氏名など) | 既存の優良顧客に限定した新商品・限定サービスの案内、休眠顧客の掘り起こし |
| エンゲージメントカスタムオーディエンス | Metaプラットフォーム(Facebook、Instagramなど)内での行動履歴 | 特定の動画を75%以上視聴した人、Instagramのプロフィールにアクセスした人、投稿に「いいね!」をした人など |
| アプリのアクティビティ | モバイルアプリ内でのユーザーの行動履歴 | アプリをインストールしたものの、起動していない人や、特定の課金アイテムを購入した人 |
カスタムオーディエンスの設定方法
カスタムオーディエンスは、Meta広告の入稿時「広告セット」の階層で設定できます。「Advantage+オーディエンス」を利用する場合はカスタムオーディエンスをAIに「提案」する形で設定するため、オーディエンス外の人にも広告が配信される場合があります。利用しない場合はカスタムオーディエンスのリストのみに配信されます。
いずれも、「作成したリストを広告グループに紐づける」という流れで設定します。

新規リストを管理画面トップで作成
Meta広告管理画面の左側メニューより、「オーディエンス」に入ります。

「オーディエンスを作成」から「カスタムオーディエンス」を選択します。

「何を元にユーザーをリスト化するか」選択します。

リマーケティングやコンバージョンユーザー(すでに取引済みのユーザー)の除外などで主に使うのは「ウェブサイト」です。それぞれリストの作成方法は下記のとおりです。
| カスタムオーディエンスのソース | 設定手順(ざっくり解説) |
| ウェブサイト | Metaピクセルが有効であることを確認後、広告管理画面の「オーディエンス」セクションに進み、「カスタムオーディエンス」を作成するために「ウェブサイト」を選択します。次に、ソースとして使用するピクセルと、リストに含める対象となるイベントを選択し、ウェブサイトのURLまたはパラメーターを設定して対象を絞り込みます。訪問者をリストに保持するリテンション日数を選択したら完了です。 |
| アプリアクティビティ | アプリ登録とSDK設定が完了していることを確認後、広告マネージャの広告セット作成時に「オーディエンス」へ進みます。「カスタムオーディエンスに含める内容」から「カスタムオーディエンス」を選択し、「アプリアクティビティ」を選びます。対象のアプリとイベントを選択し、リテンション日数を指定したら完了です。 |
| カタログ | カタログやピクセル/SDKなど、商品アクションのトラッキング要件を設定後、広告マネージャの広告セットレベルで「カスタムオーディエンス」を作成し、「カタログ」を選択します。使用するカタログと商品セットを選び、イベント(閲覧、カート追加、購入など)に基づいてオーディエンスを定義します。リテンション期間を指定し、「オーディエンスを作成」をクリックして完了です。 |
| カスタマーリスト | 「オーディエンス」から「カスタムオーディエンス」を作成する際に「カスタマーリスト」を選択します。リストの準備手順に従いフォーマットを整えた後、ファイルをアップロードするか、直接値を貼り付けます。アップロード後、列の照合(データ項目の確認)を行い、「インポートして作成」を選択します。 |
| オフラインアクティビティ | Metaイベントマネージャを開き、対象のデータソース(ピクセルやSDKなど)を選択します。画面上部の「作成」から「カスタムオーディエンスを作成」を選びます。ここで、リストのソース(元データ)、リストに含めるユーザーのイベント(行動)、そしてリテンション(保持期間)を選択します。必要に応じてさらに細かい条件を追加・設定して完了です。 |
| 動画 | 「オーディエンス」画面で「カスタムオーディエンス」を作成する際に「動画」を選択します。まず、リストに含める基準となるエンゲージメントタイプ(例:動画を10秒以上再生した人、全体の50%を視聴した人など)を選びます。次に「動画を選択」に進み、キャンペーンやページ、IDなどから最大200件の対象動画を選びます。リストに保持するリテンション日数を入力して完了です。 |
| リード獲得フォーム | 「オーディエンス」画面で「カスタムオーディエンス」を作成する際に「リード獲得フォーム」を選択します。リストに含める基準となるイベント(例:フォームを開いた人、送信した人など)を選び、対象となるページとフォームを指定します。リストに保持するリテンション日数を入力して完了です。 |
| インスタントエクスペリエンス | 「オーディエンス」画面で「カスタムオーディエンス」を作成する際に「インスタントエクスペリエンス」を選択します。リストに含める基準となるイベントのタイプを選び、リテンション日数を入力します。使用するページを選んだ後、対象のインスタントエクスペリエンスまたはコレクションのオプションを選択(または検索)します。必要に応じてさらに細かいルールを追加・設定して完了です。 |
| ショッピング | カスタムオーディエンス作成時に「ショッピング」を選び、条件を選択後、プラットフォームとページを指定します。イベントからリストに含めるショッピングアクションを定義し、必要に応じて追加・除外を設定し、リテンション日数を指定して名前を付けたら「オーディエンスを作成」で完了です。 |
| Instagramアカウント | 対象のInstagramアカウントがプロアカウントであることを確認後、「オーディエンス」画面で「カスタムオーディエンス」を作成する際に「Instagramアカウント」を選択します。リストのソースと、含めるユーザーのイベント(例:プロフィール訪問、エンゲージメントなど)を選択し、リテンション日数(最大365日)を追加して完了です。 |
| イベント | 「オーディエンス」画面で「カスタムオーディエンス」を作成する際に「イベント」を選択します。リストに含める基準となるイベントに対するアクション(例:参加予定にした人、興味ありにした人、チケット購入をした人など)に基づいてオーディエンスを定義して完了です。 |
| Facebookページ | 「オーディエンス」で「カスタムオーディエンス」を作成し「Facebookページ」を選択します。アカウントの追加基準を選択後、対象のページとイベント(アクション)を選び、リテンション日数(最大365日)を設定して「オーディエンスを作成」を選択すれば完了です。 |
また、それぞれのリストを作成するには事前準備が必要です。下記を参考に用意を進めましょう。
| カスタムオーディエンスの種類 | 事前に用意しておくべきもの(利用の前提となる条件) |
| ウェブサイト | Metaピクセルがウェブサイトに設置され、有効であること |
| アプリアクティビティ | アプリ登録と、アプリ内行動を記録するSDK設定が完了していること |
| カタログ | 商品のカタログと、ピクセル/SDKなどによる商品アクションのトラッキング要件が設定されていること |
| カスタマーリスト | 指定された手順に従ってフォーマットを整えた顧客リストのファイル(または値) |
| オフラインアクティビティ | ターゲットとするデータソース(ピクセルやSDKなど)がMetaイベントマネージャに連携されていること |
| 動画 | ターゲットとする動画(最大200件まで)がMetaプラットフォーム上に存在していること |
| リード獲得フォーム | ターゲットとするページとリード獲得フォームが存在していること |
| インスタントエクスペリエンス | ターゲットとするページとインスタントエクスペリエンスまたはコレクションが存在していること |
| ショッピング | ターゲットとするプラットフォームとページ(ショップ)が存在していること |
| Instagramアカウント | 対象のInstagramアカウントがプロアカウントであること |
| イベント | ターゲットとするMetaのイベント(イベント機能で作成したもの)が存在していること |
| Facebookページ | ターゲットとするFacebookページと、アカウントセンター内アカウントの追加基準が設定されていること |
作成が完了したカスタムオーディエンスは管理画面に表示されます。

リスト名を選ぶと編集したり「類似リスト」を作成したりできます。「類似リスト」はリスト内の人と行動が似ている人を新たに見つけてきて蓄積するリストです。既存ユーザーに性質が似た新規ユーザーにリーチ範囲を広げられます。効率よく新規顧客を開拓したいときにおすすめです。

作成したリストは広告入稿画面の「広告セット階層」で紐づけられます。前述のとおり、Advantage+オーディエンスをオンにするかオフにするかで若干仕様が異なります。
オンにしている場合は「オーディエンスの提案」を開いてから紐づけます。


オフの場合はそのまま設定します。

新規リストを広告入稿中に作成
管理画面で作成せずに広告を入稿しても、途中で新規リストを作成できます。Advantage+をオンにしている場合は、「オーディエンスの提案」を開いてから下記の作業を行ってください。
オーディエンス検索窓の右上「新規作成」からカスタムオーディエンスを選択します。

その後ポップアップで作成画面が開きます。それぞれの手順は管理画面から作成する方法と変わりません。作成後そのまま広告セットに紐づけられます。

蓄積データの期間設定とおすすめの商材
接点があったユーザーを何日間リストに保存しておくか(=何日前のデータまで残しておくか)は、商材によって適切なラインが変動します。
期間を短く設定すると鮮度の高いデータが得られますがサイズは小さくなります。一方期間を長く設定すると、データは少し古くなるもののリストサイズが拡大します。
| 期間設定 | 主な用途 | 特徴(リストサイズとCVR) | おすすめの商材 |
| 短い(例:3〜7日) | 今すぐの購入意欲が高いユーザー(例:数日前にカートに商品を入れた人)へのアプローチ | リストサイズは小さいが、コンバージョン率(CVR)は非常に高くなる | 検討期間が短く、広告を見てすぐに買われる可能性が高い商品(日用品や食品など) |
| 長い(例:90〜180日) | ブランド認知が確立しているが、購入に至るまでに時間がかかるユーザーへの再アプローチ | リストサイズは大きくなりますが、ユーザーの関心が薄れている可能性があり、CVRは短期間のものより低くなる | 検討期間が長く、広告を見たあとに長考して購入・契約に至る商品(住宅や車など) |
検討期間が長い商材はマイクロコンバージョンを活用
期間を長く設定したリストで配信するとCVRは比較的低くなりますが、マイクロコンバージョンを設置することで十分なコンバージョン数を確保できます。必ずしも商品の購入や契約といった最終ゴールだけでなく、資料請求や問い合わせフォーム入力など手前の段階を目標に広告を配信するのがおすすめです。
初心者が押さえておくべき注意点
カスタムオーディエンスは十分なデータ量がないと効果を発揮しきれません。データが蓄積されるまで時間がかかることにも要注意です。
①十分な量のデータが必要
カスタムオーディエンスのユーザー数が少なすぎると、広告が十分に配信されなかったり、Metaのシステムが学習できずに効果が出にくいことがあります。最低でも1,000人以上(推奨は5,000人以上)のリストサイズを目指しましょう。
②データの蓄積には時間がかかる
ウェブサイト訪問者やエンゲージメントに基づいたオーディエンスは、設定してからデータが貯まるまでに時間がかかります。配信したい日よりも早めに設定し、蓄積を開始しましょう。
③除外設定にも活用すべし
すでに商品を購入した顧客に「購入を促す広告」を見せても再度購入する可能性が低い場合もあります。何度もリピート購入されるような日用品や消耗品などは除き、リピーターが見込めない商品では「購入済みユーザー」を除外対象に設定すると、効率が上がります。
精度を上げる応用方法
ただ配信したいユーザーのリストを作るだけでなく、配信と除外を組み合わせて使うことで精度が更に向上します。
下記を参考に、「〇〇だが、△△ではない人」という絞り方をするとよいでしょう。ただし、リーチ範囲が極端に狭くなってしまう場合はおすすめできません。
| 組み合わせ例 | 狙えるターゲット層 | 目的 |
| A(ウェブサイト訪問者 30日間)+ 除外 B(購入者) | サイトには来たが、まだ購入していない人 | 初回購入の獲得(リターゲティング) |
| A(動画視聴 75%以上)+ 除外 B(ウェブサイト訪問者) | 動画で関心を持ったが、サイトには来ていない人 | ランディングページへの誘導 |
| A(優良顧客リスト 1%類似)+ 除外 B(過去180日間のウェブサイト訪問者) | 優良顧客に似ていて、かつブランドを知らない新規層 | 新規顧客の開拓(潜在層へのアプローチ) |
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