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2024.04.15 更新
2024.04.15 更新

おしゃれなリーフレットのデザインとは? 後編

Written By
H.S.

デザイナー

読み手の興味を引くリーフレットには、手に取ってもらえるように様々な工夫が施されています。紙の質・サイズ感等も重要ですがリーフレットは読み物の性質が強いため、一番大切にしたいのは文字や色など紙面のデザインです。工夫も無くなんとなくデザインしたのでは、せっかく素敵な内容を掲載しても手に取ってもらえず、読み手には届きません。

この記事では、実際に筆者が制作したカレーフェスのリーフレットデザインを見ながら、読み手の興味を引くためのおしゃれになるデザインポイントを解説していきます。

前編では読みやすいリーフレットの構成について、コツをご紹介しました。デザインの前に構成をしっかり検討することが重要になるため、ぜひこちらも合わせてご覧ください。


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おしゃれその1 読みやすくする

まずはデザインの構成案を準備します。いきなりデザインに入ると、方向がブレたり掲載するものが足りなくなったりするため、構成案は用意しておいた方が無難です。今回は前編で作ったものをもとにしました。文字情報は構成案の段階である程度揃えておくと、デザインがスムーズに進みます。

リーフレットデザインの構成案

構成案を元に、筆者がデザインしたものがこちらです。読みやすさを意識していることと、目を引くための工夫をしています。

カレーフェスリーフレットのオモテ

 

カレーフェスリーフレットのウラ

前編でも解説したように、リーフレットはチラシなどと比べて読み手に情報を伝える側面が強く、読み手に読むストレスをかけないようにする必要があります。読みやすさとは文字や余白、まとまりを調整することで生まれ、それらを更に強調すると印象的な見た目になり、おしゃれなデザインにそのまま繋がることもあるのです。そのため、読みやすさとはおしゃれなデザインの第一歩と言えるでしょう。では、上記デザインのどこが読みやすさを意識したデザインになっているかを見ていきます。

余白をとる

余白とは、文字の字間・行間・周辺に余白がある空間を指します。字間・行間が詰まっていると読むのに時間がかかるため読みにくくなり、ゆったりさせると文字として視覚的に入ってきやすくなります。この関係性は口頭で話すスピードに例えることができます。例えば字間・行間が詰まっている時は早口でつらつらと述べているような印象、逆に間隔を広げるとゆっくり、はっきりと話している印象になります。

行間・字間の比較
書体によって字間・行間の間隔は変わるため、調整する前に書体は選んでおきましょう。

周辺の余白は、文章同士の情報を区別化できます。これはまとまりごとの間に空間があることで、別の内容だと目が認識するためです。内容ごとに囲み等を使って区別するケースもありますが、囲まなくとも余白をうまく使うことで、それぞれ違う内容であることは伝えられるのです。

余白は情報を分ける以外にも使い方があり、世界観をつくるため意図的に多く配置することもあります。この手法を使用する場合は、リーフレットにおいては表紙や冒頭のメッセージなどに効果的です。

まとまりをもたせる

先程余白で情報が分けられると解説しましたが、逆に近づけることで同じカテゴリの内容であることを表現できます。まとめる時、「Zの法則」を念頭に置いておきましょう。「Zの法則」とは前編で解説したように、左上から右上、左下、右下の順で目線が移動することを言います。これは紙面全体、ページ、文章等にそれぞれ関わる法則で、内容を近づけまとまりをもたせた後、視線の動きを意識した配置になっているかを確認しながら制作すると良いでしょう。

Zの法則

離したり近づけることが難しく内容のまとまりが表現しにくい箇所には、色の変更や囲みを使ってみます。色の変更や囲みは、より内容の繋がりや区別を表現できる手段です。色を変えるといっても、無闇に色をつけるのではなく意図を説明できるようにしましょう。今回の場合、カレーにちなんだ色で統一して黄色や赤茶あたりの色でまとめよう…といった具合に、どうしてその色なのかを考えながら着色していくと、全体の色味のバランスも自然と整ってきます。

おしゃれその2 画像とイラストを使う

画像やイラストは読み手に一目で情報を伝えられるため、文字よりも分かりやすく内容を伝えることができるほか、扱うブランドや店などの世界観を表現するのにも効果的です。複雑な形のものや応募フローなどの説明が多くなるものは、イラストを使うと視覚的に分かりやすくなります。

また、画像やイラストは2色以上で表現されることが多く文字よりも読み手の目を引きます。モノクロの場合でも、一色の濃淡で表現されるため同様です。そのため、要点の近くに画像やイラストを使うと目線を誘導することができます。

画像やイラストを使用する際は、クオリティにこだわりましょう。画像・イラストの質がデザインを左右するからです。画像やイラストにおけるクオリティとは、画像解像度や構図等のことを指します。画像解像度はクオリティを構成する一番重要な要素で、フルカラーで印刷するなら300~350dpiが好ましいです。これより低い数値にすると、画像やイラストが粗くなりぼやけたりかすれたりします。逆に高すぎても、印刷機器の性能が追いつかないためきれいに出力できません。

構図は、画像やイラスト内にあるモチーフが最も映えるものを選びます。画像なら色々な方向から撮影し、イラストの場合はラフをいくつか制作して検討します。

画像を加工する

画像の色調やトーンを調整すると、より美味しそう・楽しそうというように雰囲気を出すことができます。表現したい世界観に合わせて明るめ、暗め、色味を変える、別の素材を乗せる等で調整します。写真を長方形に配置することを角版と言いますが、場合によっては対象物を切り抜いて配置すると面白いレイアウトにできます。デザインに合わせて画像をどう処理するかが重要です。

画像の切り抜き例

実際にカレーフェスのリーフレットで加工してみると、上の画像のようになります。店舗ごとにカレーを切り抜いて配置したため、レイアウトに動きが出て楽しい雰囲気になりました。また、それぞれ違う場所・時間で撮影した画像で色味が微妙に違うため、同じ明るさや色味に揃えておくと統一感が出て美しくなります。

イラストを配置する

画像をそのまま使うと肉眼で見ているようで、あまり綺麗でない雰囲気になる場合や、分かりやすく説明したい時はイラストを使います。イラストは自分で描いたり、素材サイトからダウンロードする手もあります。素材サイトからダウンロードする際は、商用フリー、作者明記が必要などサイトによってそれぞれ規約が異なるため利用規約を十分確認してから使いましょう。イラストのタッチや絵柄は、線ひとつとっても太い・細い、一筆書き・多重線、筆圧がある・ない等多種多様のため、世界観に合わせて選ぶと良いです。

イラストの使い方は、そのまま使う他に色を変える、テクスチャとして使うなど様々あります。今回は目立たせたい表紙と会場マップにイラストを使用しました。楽しい雰囲気のフェスを表現するために、手書き感のあるテクスチャで加工しています。

イラスト使用例

おしゃれその3 形を変える

前編では、リーフレットを開いて中身を読んでもらうためには開きたくなる仕掛けが必要と解説しました。しかし、どんなに中のページで工夫を凝らしても、開いてもらわなければ意味がありません。第一関門は手に取ってもらうことです。そこで、まず目に触れる表紙にも何か興味を引く仕掛けを置きましょう。例えば、表紙だけ形を変えてみたり、中が見えるように少し折り方を変えてみたりするのもひとつの手です。

注意点として、変形させるとその分印刷コストがかかることが挙げられます。多くの場合、予算を設定してからデザインの制作に入るためどのくらいの予算を印刷に割けるのかを事前に確認しておきましょう。

全体の形を変える

形の比較

定型サイズを折っただけの形に比べて、変形させたリーフレットの方が目立つことが上の画像から分かります。他のリーフレットと差別化されて、より読み手に訴えかけられるのが変形の良いところです。

また内容に合わせてかたどることで、タイトルを読むより早く何について掲載しているリーフレットなのかが分かりやすくなるケースもあるため、ターゲットとする読み手の注目を集めやすくなります。扱う商品やサービスに合わせて、どんな形が訴求力に繋がるかを考えてみましょう。

まとめ

おしゃれなデザインとは、一口に奇抜なデザインやキレイなデザインをすれば良いというわけではありません。ここまでのポイントに気を付けながらデザインをすると、おのずと伝えたいものに沿った紙面になり、それがおしゃれなデザインへのベースとなります。ご紹介したポイントの後に、よりおしゃれになるようにブラッシュアップしましょう。

紙の質や厚さも、例えば今回のカレーフェスだったら少し黄味のある紙にしてみる、ちょっとざらついた紙質を選ぶ…といったように、内容によって変えてみましょう。そうすることで掲載内容との連動性が高まったり訴求力が上がるため、よりおしゃれへ近づくことができるはずです。

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Written By
H.S.

デザイナー

チラシ・パンフレット・Webサイト・バナーなど幅広く担当するグラフィックデザイナー。シンプル、きれいめなデザインを得意とする。生姜とにんにくのたまり漬けをこよなく愛している。おにぎりは明太子、ラーメンは味噌派。