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2020.08.31

リスティング広告の予算を減らしても、効果の低下を抑える3つの方法

 広告の予算を減らす際に直面する、クリック率・獲得率の低下といった広告効果の低下。広告予算を減らすような場面になれば、誰もが懸念する問題であると思います。それでも広告の予算を減らさなければならないという事実は変わらないうえに、具体的にどういった予算の削減策をとればいいか分からないという広告主の皆さんも多いのではないのでしょうか。

 運用を任せている広告代理店から提案された内容を採用し、いざ思い切った削減策をとったら、やはり広告効果の低下が生じてしまった…。懸念していた問題であるからこそ、そんな事態に陥るのであればもっと他の方法を試してみればよかったと後悔することになりかねません。

 それでは、具体的にどういった方法をとればよいのか。広告予算を減らすといっても、そんなにいろいろな方法があるの?と疑問に思われたり、運用を任せている広告代理店からは他の方法なんて提案されなかった、という広告主の方もいらっしゃったりするかもしれません。

 そんな疑問や不安を解消すべく、予算を減らしても広告効果の低下を抑える方法を本記事ではお伝えしていきます。

「メディア」の切り捨ては「広告効果」の切り捨て

 今日の社会情勢の影響を受けて、広告に充てる予算を削減するという結論に至る広告主や、そもそも直近の広告成果があまり芳しくなく、広告予算を絞りたいと考えている広告主の皆さんも少なくないのではないでしょうか。そんな状況にあるとき、広告費を減らすための方法として簡単に思いつくものといえば一部の広告メディアをばっさり切り捨てることです。

 リスティング広告の配信メディアとしても、Google・Yahooに始まり、その中でも検索広告なのか、ディスプレイ広告なのかというように、複数の展開がなされています。多くの広告主の皆さんは、広告予算を減らすならそれらのうち悪いメディアを切り捨てようと思われるのではないでしょうか?また、実際に広告予算を減らすという問題に差し当たった広告代理店も、同様の考えからこの手法をとることが多いのも事実です。

 しかし、このメディアの切り捨てこそ、広告効果の低下を生じさせている原因であるかもしれません。

 前述したように、メディアの切り捨てとは、悪影響をもたらす部分を大きく取り除く方法であるため、残るのは良い部分ではあります。

 一方で、この「部分」という記述に違和感はありませんか?

 切り捨て対象となるメディアの判断は「悪い」「良い」というように、それまでの広告効果や目標達成度に対して出した評価ではありますが、メディア比較という大きな枠組みとしての判断でしかありません。悪いと判断されたメディアも、地域、性別、デバイスといった細かい部分を確認すると、全体よりもクリック率や獲得率が高いところがあるかもしれません。東京への配信は獲得率が低いが、名古屋への配信は獲得率が高いなどがその一例にあたります。

 そのため、メディアをばっさり切り捨ててしまうと、そういった広告効果が高い部分も同時に切り捨ててしまうことになります。また広告効果の良いメディアであっても、広告予算を増やした際に、広告効果が低い部分への配信の割合が大きくなり、結果として広告効果が下がってしまうという事態を引き起こすことも考えられます。

  「メディア」をまるごと切り捨てるのは、「広告効果」の切り捨てに他ならないといえるでしょう。

広告効果低下を防ぐ3つの方法

 それでは、メディアの切り捨て以外の方法で具体的にどういったものがあるのか。広告効果の低下を抑える方法を大きく3つにわけて紹介していきます。

方法①:配信中の全メディア合算で予算を減らす

 1つ目は、特定のメディアのみを切り捨てるのではなく、配信を行っている全メディアの合算予算を減らす方法です。

 前述したように、メディアの切り捨てでは広告効果の高い部分も併せて切り捨てる可能性があるため、1つのメディアを切り捨てるのではなく、配信を行っている複数のメディアそれぞれに配分する予算を減らして、全体としての広告予算を減らすという手法をとるのです。

 この方法をとると、予想していたよりも獲得数などの減りが少なく、広告効果の低下を抑えられる可能性があります。これは経営関連でよく取り上げられ、また当初は農業などでも多く取りざたされてきた「収穫逓減の法則」を逆手にとった考えだからです。

▼図1 農地面積と収穫量の関係(収穫逓減の法則)

 「収穫逓減の法則」とは、農業で例えるのであれば、農地面積を増加させる量に応じて収穫量の増加が望めるが、ある一定の点を超えると次第に収穫量の増加が減少していくというものです。つまり、閾値に到達すると投資に対しての収益率が落ち込んでしまうという法則です。  

 図1に示したように、農地面積を拡大していくほど収穫量は増えていきますが、途中からその収穫量の増加率が落ち込んでしまうことがあります。この場合には「収穫逓減の法則」が働いているのではと考える価値があります。

 リスティング広告に当てはめると、予算が少額の内は、予算を増やせば比例的に獲得数を増やすことができます。しかしある程度のご予算額に到達して以降、獲得数があまり増えなくなるという事象が生じるということになります。

 しかし、その状況を反転して考えれば、閾値を超えたせいで獲得数が伸び悩んでいた分、ご予算を減らしてもその減り幅は少ないということ。そのために、想定していたよりも獲得数を減らすことなく広告のご予算を減らすに至るのです。

  ただし、この方法をとるうえで注意しなくてはならないことがあります。この「収穫逓減の法則」における一定の値、つまり閾値となるご予算がどの程度であるかは一見して分からないということです。

 毎月、数万円ずつ広告予算を増やしていき、獲得数の増加が伴わなくなってきた経験があるのであれば、その際の伸び悩み地点付近で広告予算の調整を行うと、今回提示しているように獲得数などの減少を抑えつつご予算を減らすことが可能です。

 しかし、初期のご予算から変動なく増額を行っていなかったり、一気に大幅な増額していたり、またそもそもの広告の予算があまり多くなかったりする場合には上記のような見極めはできませんよね。また、業種によって広告配信対象であるユーザーの質や多さなど、対象範囲の広さが異なるという点も問題となります。

 そのためそういった場合には、一度で多額のご予算を減らすのではなく、月間などで少しずつ減らしていく方法がベストです。

 この方法をとることで、月間などで広告効果の低下を比較・検証することが可能になるため、見極めは大変ですが大幅な広告効果の低下を防ぐことができるかもしれません。

方法②:認知施策をやめて予算を減らす

 2つ目は、認知施策を行っている場合は、それをやめてみるという方法です。

 多額の予算を設けている認知施策も、広告配信の目的が獲得などであればその効果はあくまで間接的なものにすぎません。そのために、その間接的な効果へかける予算を縮小することで、広告の予算を減らすことが可能となります。

 そもそも、リスティング広告の配信における認知施策とは、社名などのブランドに対する認識がない、もしくは薄いユーザーに対して行うもので、ディスプレイ広告、動画広告などで接触機会を設けてブランド想起や好感度を上昇させる手法です。

 最初から自社の商品を知っていて、それを目的に検索を行うユーザーとは異なり、新たな選択肢の1つとして挙げさせるという、検討段階以前にいるユーザーに対するアプローチになります。

 新規顧客を開拓するという点で優れるこの認知施策ですが、一方で予算が膨大になるという懸念点があります。既に認識を持ち検索を行うユーザーという特定の範囲への配信とは異なり、認知施策は不特定多数のこれから顧客になる見込みのあるユーザーに配信するものであるために、その配信量は膨大なものである必要があります。そのため、必然的にその施策にかけるべきご予算は大きくなってしまうのです。

 またこの認知施策は、リスティング広告の配信目的に応じては間接的な効果のみしかもたらさないという点も挙げられます。

 リスティング広告の配信目的がブランド認知を広げ見込み顧客を増やすことであるならば、まさにこの認知施策こそが最適な方法でありますが、一方で申し込みなどの獲得数を増やすことが目的であるならば、この認知施策だけで達成することは難しくなります。

 そのためにリスティング広告の配信目的によっては、認知施策をやめることによって、費用対効果が上昇し、広告効果を下げずに広告の予算を減らすことが可能といえるでしょう。

 また、前提として少額での認知施策を行っている場合には、上述した性質から、その認知施策の効果自体も発揮できていない可能性がありますので、まずはその分のご予算を減らすことを推奨します。

 一方で、この方法にも注意が必要です。広告配信目的が獲得数を増やす場合において、認知施策はあくまで間接的な影響しか与えないという点に触れましたが、この間接的な影響があるために広告効果が高まっている場合もあります。

 認知施策によってブランド認知が高まり、社名やブランド名を用いた検索をするユーザーが増え、結果として指名系でのクリックや獲得が増加するといった状況にあるのであれば、認知施策をやめることによってそういったユーザーの新規流入が減ってしまうことが懸念されます。

 リスティング広告全体において、認知施策が与える影響というものを精査したうえで、継続の有無の判断を行うことが重要です。

方法③:無駄費用や悪い部分をそぎ落として予算を減らす

 3つ目は、各メディアの配信対象を絞って、ご予算を減らしていく方法です。

 メディアのうち一部をばっさり切り捨てるのではなく、各メディアにおいて広告効果が低くなっている部分への配信をやめていき、その部分に充てていたご予算を削減することで、全体の広告の予算を減らすという手法になります。

 メディアの切り捨てに関して冒頭でも触れていますが、各メディアのうちには広告効果の高い部分があれば低い部分も混在しています。もちろんすべての部分の広告効果が高くなっていることが理想ですが、どんなにいい成果がでていても、その内部で比較すれば良し悪しの判断をつけることは可能ですよね。

 その「悪い」部分に着目していくと、検索されてクリックはされるのに獲得に繋がらないキーワードやクエリなどの、広告配信の目的となっている指標(例えば獲得など)に結び付かない所謂「無駄費用」を発生させている要素があります。そういった「悪い」部分のみを削っていくことで、ご予算を減らした際の広告効果の低下を抑えられる可能性があります。

 しかし、この手法においても一部デメリットが生じます。それは、「悪い」と判断した要素の配信をとりやめることで、今後広告効果が高くなる可能性のある部分を切り捨てることになるという懸念が生じます。今後その対象に対しての広告効果が全くわからなくなることです。

 前述した①の全体予算を減らす方法では、あくまで配分量を減らすだけであって、広告効果が低く、「悪い」と判断された要素への配信を完全に取りやめることではありません。そのため配信を継続していくうちに、広告効果が高まってきた場合にはその部分へかける予算を配分変更することで増やすことが可能です。

 一方で、この配信対象を絞る方法では、配信をやめてしまうことから経過を観察することもできなくなります。一部メディアを切り捨てることと同様に、この方法では「悪い」部分の中にある成長を残す要素もばっさり切り捨てることになるため、ご予算を減らした際の広告効果の低下を抑えるという点では効果があるかもしれませんが、その後の継続していく広告配信の可能性を減らすことになるため、実施には注意が必要です。

3つの方法のメリット・デメリット

 ここまで広告効果の低下を抑える3個の方法をご紹介してきましたが、それぞれの方法について一度まとめてみましょう。

方法①:配信中のメディア合算で予算を減らす方法

<メリット>

・各メディアや配信要素へのご予算配分を変更せずにご予算を減らせる

・予算を減らしつつ、継続して広告効果の高い要素(メディア、メニュー、セグメントなど)へのご予算配分調整が可能

<デメリット>

・目安となる閾値が一見ではわからないため、見極めには検証が必要

・もともと少額での配信の場合は、広告効果の低下を抑えられない可能性あり

・閾値を超えてご予算を減らすと広告効果の低下を抑えられない可能性があるため、決まった金額を減らす場合には向かない

方法②:認知施策をやめて予算を減らす

<メリット>

・広告配信の評価対象指標(獲得数)にご予算の減額が直接影響しない

<デメリット>

・検索広告の指名系新規ユーザーの増加がとまる可能性あり(それによりかえって広告効果低下の可能性あり)

・認知施策に充てているご予算の範囲内でしか減らすことができない

方法③:無駄費用や悪い部分をそぎ落として予算を減らす

<メリット>

・現段階で悪い部分だけへの配信をやめて予算を減らすため、広告効果が下がりにくい

・配信をやめる範囲は自身で調整できるため、減らすご予算の幅は自由に設定できる

<デメリット>

・そぎ落とした要素(メニュー、セグメントなど)への配信ができなくなるため、今後広告効果が上昇する可能性をつぶすことになる

 上記で示したように各方法にメリット、デメリットが存在するため、実施の際には注意が必要です。また、一方でそれぞれの方法を組み合わせることによってより広告効果の低下を抑えられる可能性があるため、各ケースを想定した下記の表を参照してみるとよいかもしれません。

▼表1 ケース対応比較

「予算」を減らすには「無駄『だけ』」を減らす

 広告効果を下げずに、広告の予算を減らしたい。しかし、広告代理店に提案されるのはメディアの切り捨てのみ。そういった場合を受けて、広告の予算を減らしても広告効果の低下を抑える3個の方法をご紹介しました。

 もちろん、広告効果はその時々の情勢(競合の新規参入・広告掲載強化、季節、流行など)にも左右されるものであるため、広告出稿側が完全にコントロールできるものではありません。広告予算をどの程度減らしたら、この程度の広告効果の低下になる、といったシミュレーションをだすことはできるとしても、その数値に沿ってそのまま結果が出ると限らないということは、広告主の皆様をはじめ重々承知していることではありますよね。

 それでも、可能な限り広告効果の低下を防ぐという点では、メディアを切り捨てるのではなく、全メディアの合算予算を減らすことで、予算内の広告効果に結び付いていない「無駄」を省いたり、認知施策といった配信メニューを見直すことで、間接的な「無駄」を省いたり、実際に広告効果が低く悪いと判断できる部分をそぎ落とすことで、配信対象のうちの「無駄」を省くというように少しずつ丁寧に広告効果の低い部分を減らしていくことそのものが、予算を減らしても広告効果の低下を防ぐ手立てになるのです。

 予算を減らす際には提案された方法だけを鵜呑みにせずに、まずはご紹介した3つの方法が広告主の皆さんのケースにどう適用できるか確認をしてみてください。

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