【事例紹介】Web広告のクリック率(CTR)が下がっても“しっかり成果が上がる方法”とは?
広告の成果を見る際、実はクリック率が下がったからといって、気にしすぎる必要はありません。それどころか、成果を改善するために敢えてクリック率を下げる施策を打つことだってあるのです。
代理店から受ける「クリック率が上がりましたよ!」という報告に一喜一憂しすぎてはいけません。そこには、クリック率が上がったことにフォーカスすることで、とにかく成果を良く見せたいという代理店の思惑が潜んでいるケースも…。
本記事では、『クリック率の正しい見方』を教えます。クリックされる広告文の作り方が知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
また広告指標や目標設定に関する用語がわからない!という方向けに下記の単語帳をご用意しております。本記事と併せてご利用ください。
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目次
クリック率の変動にだまされるな!
例えば獲得を目的としたキャンペーンで、以下のような結果の場合を考えてみましょう。
クリック率を見ると前月よりクリック率が上がっているため、広告効果も良くなったと思うかもしれません。しかし「広告の成果」は本当に上がっているでしょうか?
この広告の目的は「獲得」ですので、重要な指標はコンバージョン(CV)数、または獲得単価(CPA)です。この観点から見ると「CVは前月より低下、CPAは前月より増加」と悪化していますね。
もしこのようなレポートで「クリック率が上がっており広告の成果が改善しています!」と代理店に言われたら、その代理店は実力不足か成果が悪化したことを隠そうとする不誠実な会社だと考えられるでしょう。
「表示回数が減り、クリック数がそのまま」「表示回数がそのままで、クリック数が増える」のどちらかの状況でクリック率は上昇します。クリック率が上がっていると一見成果が出ているように思いがちですが、本当に重視したい数値はむしろ悪くなっていることがあります。
逆にもしクリック率が下がっていても、CV数が減ったりCPAが高くなっていなければ、広告成果としてはまったく問題ないとも言えます。
クリック率が下がっても成果が改善された施策事例
「成果を改善するために敢えてクリック率を下げる施策を打つこともある」と前述しましたが、具体的にはどのような施策があるのでしょうか。ここでは、クリック率が下がっても広告全体の成果が改善された施策例を一部紹介します。
【事例①】CPAが高いキーワードの入札金額を下げた
獲得目的のキャンペーンにおいて、CPAが高いキーワードの入札を抑えることで、広告全体のCPAを下げることができました。 以下の表で、月ごとの結果を見ながら成果がどうだったのかを考えてみましょう。
この広告では「キーワードA」がコストの大きな割合を占め、しかもCPAも高止まりしていました。そのためキーワードAの入札額を減らすことで、コスト減とCPAの抑制を同時に図りました。
表の「クリック単価」「コスト」を見てください。クリック単価を50円ほど引き下げたことで、キーワードAは掲載順位・クリック率が下がり、その結果コストも大きく下がっています。同時にCVも下がりましたが、CPAが前月より6,667円減少しています。
ねらいであった「コスト&CPA抑制」という観点からすると、この施策は成功したと言えます。
【事例②】獲得が見込める新しいキーワードを追加
検索広告で、「競合は多いが獲得が見込めるキーワード」を新たに追加することで、CV数の底上げを図った事例です。
追加したキーワードは競合の多いキーワードだったことでクリック率が低くなり、その結果広告全体のクリック率も前月より大きく減少。しかし予想通り新規キーワードでCVを3件獲得でき、CV数増に成功しています。
クリック率は下がりましたが、広告全体のCV数が増加したため施策としては成功です。この例もクリック率の減少に着目してしまうと、施策の評価を誤る結果になるでしょう。
【事例③】好調なディスプレイ広告の配信比率を上げた
検索広告とディスプレイ広告の両方に配信している広告で、好調だったディスプレイ広告の配信比率が高まるように調整した事例です。
CPAが低かったディスプレイ広告の配信比率を増やすことで、全体のCPAを抑えCV数を増やすことを目指しました。結果については以下の表をご覧ください。
全体成果を見ると、前月より大きくクリック率が下がっています。これはクリック率の高い検索広告の配信比率が下がったからです。
検索広告は配信量が減ったことでCVが2減少しましたが、逆にディスプレイ広告は配信量が増えCVが3増加しています。結果的に、前月と同予算で全体のCV数を1増やすことに成功しました。
やはりクリック率は下がりましたが、全体のCV数が上がったため、この施策も成功といえるでしょう。
「ABテスト」はクリック率が判断基準となる
獲得目的の広告なら、クリック率はそれほど重要視する必要はないとお伝えしてきました。では、クリック率はどんな時に使えばよいのでしょうか?
結論、クリック率は広告文やクリエイティブの「ABテスト」をする際に使います。
以下の表は同じ期間で同じ条件のもと配信した広告Aと広告Bの広告別レポートです。
2つの広告を比較すると、Aの方がBよりもクリック率が2.0%ほど高い結果になっています。またCPAで見てもAの方が低いことから「Aの広告のほうが優秀」と判断できるでしょう。
リスティング広告では「クリック率が高い=ユーザーにとっての利便性が高い」と媒体が判断し表示機会が増えやすいため、クリック率が高いに越したことはありません。またクリック率が高いほど媒体からの評価が高まり、クリック単価を低く抑えられます。
しかしどんな広告のクリック率が良くなるかは、実際に出稿してみなければ確かめられません。そのため複数の広告を入稿し、クリック率を検証する必要があります。
クリック率の変動に注視すべきケース
ここまでクリック率そのものは、あまり重要ではないとお伝えしてきました。しかし特に大きな設定変更もしていないのに、クリック率が大きく変動しているという場合は注意が必要です。
クリック率の変動が競合の入札やプレースメントの変化など広告配信状況の変化に気づくきっかけになる場合がありますので、数字が変化した場合は原因を明らかにすべきです。
たとえば以下のような事象が起こっている可能性があります。
① 検索広告のクリック率が大きく低下している場合
【考えられる理由】
・競合の入札状況が変わった
・競合の広告文が変わった
など
現在入稿しているキーワードにおいて競合が入札を強めたり、クリック率の高い広告文に変更したことなどにより、自社広告の掲載順位が下がっている可能性があります。この状態が続くと、該当キーワードにおいて競合にクリックおよびCVを取られてしまうかもしれません。
この場合、以下のことを確認してください。
検索画面で検索して、実際に出てくる広告を確かめる
Googleの場合は「オークション分析レポート」という、指定したキーワードにおいて競合の入札状況がわかるツールがあります。オークション分析レポートで、確認したいキーワードの競合との広告表示のシェア率が落ちていないかを確認しましょう。
また、実際に検索することも大切です。該当のキーワードを検索して、競合の広告出稿状況や広告がどんな訴求をしているか確認しましょう。
② ディスプレイ広告のクリック率が大きく変動している場合
【考えられる理由】
特定のプレースメントの配信が増えている
ディスプレイ広告でクリック率に変動があった場合は、広告が配信されたプレースメントを確認してみてください。誤クリックを誘発しやすいプレースメントへの配信が増えただけの可能性もあります。その場合、有効なクリックとはいえず無駄なコストがかかっているだけなので、注意が必要です。
この場合、以下のことを確認してください。
プレースメントレポートで配信先サイトをチェック
クリック率の高いプレースメントの配信が増えている場合は、そのサイトを実際にチェックしてみてください。もし異常に広告枠が多いサイトである場合などは、広告をクリックしたくないのにしてしまっているユーザーがいる可能性が考えられます。そのプレースメントは配信停止した方がよいでしょう。
どの広告指標が重要なのか見誤らないこと
クリック率はちょっとしたことで変化しやすい指標です。クリック率の変動は注目する必要はありますが、下がったからといって悲観する必要は全くありません。広告を配信する目的を見誤ることなく、結果に対して正しい評価をすることが非常に重要です。
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