リスティング広告の「高すぎる獲得単価(CPA)」を改善する方法
「リスティング広告のCPA(コンバージョン単価)が高い」という課題を解決するために、どんな施策を取れば良いか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
リスティング広告を運用する際に設定できる項目は多岐にわたるため、何を調整すればCPAを抑えることにつながるのか分かりにくいですよね。しかしCPAを改善するために取るべき施策・見るべき指標は、実はそれほど多くありません。
コンバージョン率(CVR)とクリック単価(CPC)という二つの指標を重点的に見ることで、CPA抑制を目指すことができます。
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目次
CPAはCVRとCPCの関係性であらわせる
リスティング広告では、会員登録や問い合わせ獲得など、広告配信の目的となる成果地点のことを「コンバージョン(CV)」と呼びます。また、1件CV獲得するのにかかった費用を「コンバージョン単価(CPA)」と呼びます。CVを顧客獲得に設定している場合は特に、CPAを「顧客獲得単価」とも呼ぶこともあります。
CPAが下がるほど、同じ広告予算の中でより多くの顧客を獲得できていることになります。
そのためリスティング広告におけるCPAとは、広告の費用対効果を確認する上で非常に重要な指標と言え、広告運用者はこの値を少しでも下げられるよう日夜奮闘しています。CPAは以下の計算式で求められます。
- CPA(コンバージョン単価)=COST(総額費用)÷CV(コンバージョン数)
CPAを下げるには総額費用を抑制するもしくはCV数を増やすしかありませんが、単純に費用を減らすだけでは顧客の誘導数が減って結果的に全体のCV数も減ってしまう可能性があります。
このCPAを減少させるための方法を考えるために、一度CPAの計算式を因数分解してカンタンな計算式にしてみましょう。CPAを算出するために必要なCOSTとCVは以下の式に変換できます。
- COST=Click(クリック数)×CPC(クリック単価)
- CV=Click(クリック数)×CVR(コンバージョン率)
このとき、分母と分子にそれぞれ同じClickの値があるため、この値は計算上削除することができます。CPAの計算式は、以下のように変換することができます。
※CPC:広告1クリック当たりの費用(COST÷クリック数)
※CVR:広告におけるCVRは、1コンバージョン当たりのクリック数(CV÷クリック数)の割合を示す
上記の計算式に変換した場合、CPAを下げる方法は「CVRを上げる」または「CPCを下げる」のどちらかもしくは、両方に対策をする必要があります。CVRとCPCの変動の例は、以下の通りです。
- CVR0.5・CPC100円の場合、CPA200円/CV
- CVR1.0・CPC50円の場合、CPA50円/CV
それでは具体的に「コンバージョン率を上げる」または、「CPCを下げる」方法について解説していきます。下記のロジックツリーをご確認ください。
上記ではそれぞれ、「CVRを上げる」対策を5つ、「CPCを下げる」対策を3つ記載しています。CPAを下げるために、成果が良かった時のCVR・CPCの値と比較して、数値の落ちた指標を改善する施策を実施しましょう
「ここまで読んでも正直意味がわからない。どうすればいいか直接聞きたい…」という方は、以下のボタンから弊社へご連絡ください。貴社が現在運用しているWeb広告を徹底的に分析し、高すぎるCPAを下げるための施策を提案いたします。無料でご相談可能ですので、お気軽にお問合せください。
コンバージョン率(CVR)を上げる5つの方法
この章ではCVRを上げるための5つの方法と、どんな時にその方法を取ればよいかについて解説します。
広告文の見直し
まずは自社で掲載中の広告を確認してみましょう。クリックはされていても、CVに至らない広告はないでしょうか?
広告は常にクリック率が高くなるよう、できるだけ魅力的な文言を入れて作成しているかと思います。しかし、いくらユーザーにクリックされやすい広告だとしても、CVに至らなければ費用対効果の改善は見込めません。
特定の広告のCVRが低くなる要因は複数ありますが、「広告の内容とリンク先サイトの内容がマッチしていない」ということがユーザーを離脱させる原因となっている場合が少なくありません。
広告文作成の際は、よりクリックされやすい内容を意識しなければならない一方で、ターゲットでない(=CVが見込めない)ユーザーには「クリックしてもらわない」よう、広告の目的を明確に記載することも重要です。
■この施策を実施すべきケース
実際に広告文の成果を比較し、クリック数を最も多く集めている広告のCVRが他の広告文より低いあるいは0の場合。
ただし、広告のクリック率が高くなると、広告の品質が上がり低単価でクリックを獲得できるようになるというメリットもあるため、CVRだけでは広告の良し悪しを判断することはできません。
改善施策としては、広告文の品質をクリック率とCVRを掛け合わせた数値で判断する方法が考えられます。この方法でABテストを続けていき、数値が悪い広告文はどんどん更新していくと品質が改善されていくはずです。
リンク先URLの見直し
広告文のABテストは既に試したもののCVRが改善しないという場合は、次に広告のリンク先URLを見直してみましょう。
リンク先URLの見直しが必要になるのは、現在広告に設定しているURLが最適であると必ずしも言い切れない場合があるからです。例としてユーザーがキーワード「〇〇〇〇(ブランド名) 秋 ジャケット」で検索した場合を想定して考えてみます。
■広告A
広告タイトル「秋物ジャケット|○○○○○(ブランド名)」
リンク先URL「ブランドTOPページ」
■広告B
広告タイトル「秋物ジャケット|○○○○○(ブランド名)」
リンク先URL「ブランドジャケット一覧ページ」
上記広告Aと広告Bでは、どちらがCVを得やすいでしょうか。
これは「どちらとも言えない」が正解となります。
一般的なイメージとしては「ユーザーはジャケットを探しているのだから、ジャケット一覧のページに飛ばす方がよさそうだ」と思ってしまうのですが、実際にリンク先URLを比較検証してみるとTOPページの方がCVRが高いなんてことも珍しくありません。
弊社の事例でもアパレルブランドのクライアント様でリンク先のURL検証を実施したところ、商品詳細ページよりもTOPページにリンクさせた方がCVRが高くなるということがありました。広告運用者が「このページをリンク先に設定するのが最適だろう」と考えていても、実はより成果を挙げられる設定があるという可能性は十分に考えられます。
■この施策を実施すべきケース
広告文を変更してもCVRが上昇しないかつサイトに複数のページを持っており、リンク先変更の検証を試す余地がある場合。
TOPページと商品詳細ページ、商品詳細ページと商品の概要説明ページなど、まずは仮説を立て現在設定しているリンク先URLとの比較検証を実施してみてください。
比較検証を行う際は、できるだけ同じ広告グループで、同じ広告(テキスト、説明文)を使用しましょう。広告やターゲットが異なると同一の条件で広告配信をしていないので、もしCVRに差が出たとしても、原因が分かりにくくなります。純粋な検証結果を得るためには、同一の条件下での比較検証が必要です。
属性ターゲティングの見直し
CVRを高める方法の一つとして、ユーザー属性によるターゲティング設定を行うという方法があります。リスティング広告には以下のような属性でターゲティングしたユーザーへの広告配信を停止するという機能があります。
- 性別
- 地域
- エリア
- 世帯収入(Googleのみ)
リスティング広告を配信する対象を絞ることで、流入するユーザーと配信する広告のマッチ度が高まり、無駄なクリックを減らすことができるため、広告のCVR向上が見込めます。
■この施策を実施すべきケース
お客様の商品・サービスの対象年齢や性別が絞られている場合、また来店を目標とした広告配信において店舗の無い地域がある場合。
年齢・サービス地域の対象外となるユーザーはターゲティングから除外すると、無駄クリックを減らすことができるでしょう。
またこれまでの広告配信レポートから「若年層でのクリックが多いがCVはほとんどあがっていない」など、年齢・性別・エリアなどの項目で特定のターゲットのCVが目立って悪いという傾向が出ている場合は、そのターゲットへの配信をオフにすることを検討するとよいでしょう。
キーワードの精査
過去に設定したキーワードを見直し、成果に繋がっていないキーワードを停止することで、流入するユーザーのCVしやすさを高め、CVRを高めるという手法です。
運用開始当初に設定したキーワードは、あくまで運用前に想定したものです。実際に広告の運用を継続するうちに「クリックは多くされているがCVは全くあがらない」というキーワードが見つかる可能性は大いにあります。
キーワードレポートを確認して、十分なクリックを獲得しているが、CVが全く取れていないというキーワードは停止を検討すると良いでしょう。
検索クエリを精査し除外キーワードに追加する
キーワードを精査するには、検索クエリ(検索キーワード)のレポートを確認しCVにつながらないクエリを「除外キーワード設定」するという方法があります。CVに至らないクエリを除外キーワードに設定することで、サイトに訪れるユーザーのCV指向を高めることができ、結果としてCVRも高まることが期待できます。
まずはご自身のアカウントの検索クエリを確認してみましょう。これまで検索語句をチェックしたことがないという場合はお早めにレポートを確認し、関連性の薄い検索語句は除外するようにしましょう。
例)関連性の低いキーワードの除外
- 競合他社名だが、価格帯が大きく違うためユーザー層が異なると想定できる場合。
- 同一のブランド名だが、取扱商材が違う場合に他社の取扱商材名を除外する。
また関連性が高いクエリでもネガティブな語句と合わせて検索しているユーザーが多くいた場合、広告をクリックされたとしてもCV獲得には結び付かない語句も見受けられます。
例)ネガティブキーワードの除外
- 解約、キャンセル、返品など、このキーワードを含むことでコンバージョンに至らないと考えられる語句は、予め除外設定する。
検索クエリとは、ユーザーが実際に検索で使用し、広告の表示につながった検索語句のことです。キーワードのマッチタイプによっては、設定しているキーワード以外の関連語句でも広告を表示させることがあります。
例)キーワード「バラ」を部分一致で設定してある場合
- ユーザーが「赤いバラ」「薔薇の花」などを意図して検索したとしても、「バラ肉」などの直接商品と関連のない検索語句でも広告が表示される可能性があります。
このようにリスティング広告では、設定したキーワードから拡張された検索語句で表示されている場合があるので、定期的に実際の検索語句を確認して精査する必要があります
クリック単価(CPC)を下げる3つの方法
続いては、クリック単価(CPC)を下げるための3つの方法とどんな時にその方法を取ればよいかについて解説します。
キーワードの入札単価を下げる
CPCを下げる一番カンタンな方法は、キーワードの入札単価を引き下げるという手段です。キャンペーンの入札戦略を手動入札にしている場合は、目標CPAを元にキーワードの入札単価を引き下げてみましょう。
具体的にいくらまでなら目標CPAを達成できるのかは、下記計算式を使って求められます。
例)CPCの計算式
―――――――――――――――
CPC = CPA(コンバージョン単価) × CVR(コンバージョン率)
―――――――――――――――
目標CPA:8,000円、CVR0.25%の場合
CPC = 8,000円 × 0.25%(0.0025)
CPC = 20円
この場合は目標CPAを8,000円以下にするためには平均CPCが20円以下にならなければいけないことがわかります。
実際には設定しているキーワードが複数あるかと思いますので、CVRの低いキーワードやクリック数は多いが入札単価の高すぎるキーワードに絞って、上記のように入札額を抑制するとよいでしょう。
品質スコアを上げる
CPCを下げるには、キーワードの品質スコアを上げることも効果的です。品質スコアは広告ランクの決定にかかわる要素のひとつです。以下の仕組みで決定する広告ランクによって、リスティング広告の掲載順位が決められます。
- 広告ランク=入札額×品質スコア
入札額 | 品質スコア | 広告ランク | |
A社 | 200 | 10 | 2,000 |
B社 | 800 | 2 | 1,600 |
上記の例でA社とB社を比べると、B社はA社の4倍の入札額を設定しています。ところがA社の広告は品質スコアが高いため最終的な広告ランクはB社を上回り、B社よりも上位に広告が掲載されます。入札額が低いため、CPCもB社に比べて安価で抑えることが可能です。
品質スコアはCPCを落とすうえで重要な役割を果たす要素です。品質スコアを向上させるには、下記3点を改善する必要があります。
① 推定クリック率
特定のキーワードに対して表示された広告がクリックされる可能性を示すキーワードのステータス。指定したキーワードが広告のクリックにつながるかどうかを予測し、広告の掲載順位をもとに、キーワードの過去の掲載結果を考慮に入れて判定されます。
② 広告の関連性
設定しているキーワードと広告の関係性を高めることで、広告のクリック率を高めることができます。
③ ランディングページの利便性
広告やリンク先ページとユーザーの関連性が高いか、ランディングページ(リンク先URL)の読み込み速度が一定以上の速さか、PC・スマートフォン・タブレットなどサイト閲覧がデバイスによって限定されないこと。
キーワードレポートの管理画面を見ると、各キーワードについて、上記3つの項目が「平均より上」「平均的」「平均より下」の3段階で評価されています。
自身が運用している広告の、誘導したいキーワードの品質スコアを確認してみましょう。ブランド名や商品名のスコアは8以下、その他一般的なキーワードならスコア5以下の場合は、改善策を検討してもよいでしょう。
品質スコアについての詳細は別記事でも紹介していますので、こちらもご参照ください。
CPCの低いキーワードを追加する
キーワードのCPCは、安くて数円から高いもので数千円まで、価格帯はさまざまです。既存のキーワードのCPCが高騰しているようなら、別のキーワードに切り替えることも選択肢のひとつです。
例えば「リスティング広告」のような検索ボリュームの大きい単体のキーワードは、競合が多くCPCも高騰しがちです。そこで「リスティング広告」のキーワードは入札を抑制もしくはキーワード停止を行い、「リスティング広告 安価」など複合キーワードを入稿することや、「検索連動型広告」のように一般的ではない言い換えた言葉などを入稿することで、CPCの抑制をすることができるかもしれません。
どんなキーワードを追加すればよいか分からないという場合は、Googleのキーワードプランナーを使って、あらかじめ検索数やクリック単価の見積もりを確認するとよいでしょう。
関連リンク:キーワードプランナーを使う – Google広告ヘルプ
アカウント全体を確認しCPA改善策を見つける
本記事では、CPA改善の具体的な方法を8種お伝えしてきました。CPA改善というと難しく感じるかもしれませんが、主な対策は限られています。いきなり上記で挙げた項目全てに対応しようとするのではなく、まずはCPAが高い要因を探ることが成果改善への近道となります。
はじめはアカウント全体を見て、どのキャンペーンに課題があるのかを確認してみてください。問題のあるキャンペーンを特定したら、次にどの広告グループに課題があるのかを分析。さらに広告やキーワードの精査を行うなど、全体的な視点から細部に向かって課題を探すようにしていきましょう。
リスティング広告を運用していると、つい細かい部分にばかり目が行きがちになってしまうのですが、マクロな目線を意識することでCPAが高騰している原因や、その他の課題にもいち早く気が付けるようになり、運用改善のスピードアップにつながると思います。