Web広告の成果を正確に把握し「ムダな広告費用」を減らすための月次レポートの読み方
広告主の皆さまは、代理店から提出される月次レポートを確認する際、どんなところに着目していますか?比較検証を行う際には、月間の成果レポートを確認することが多いのではないでしょうか。
しかし、月間の成果を確認しているだけでは、費用の大きな無駄遣いを見落としている可能性があります。
定められたご予算のなかで的確なWEB広告を実施していくには、ムダな費用はできる限り抑えておきたいもの。この記事では、Web広告を行ううえで発生しがちな費用のムダについて解説します。
目次
小さなムダが大きな費用ロスにつながる
広告主が代理店から受け取る月次レポートには、以下のような内容が含まれていることが多いと思います。
- Web広告全体の月間成果の推移(1年分)
- 媒体別の成果の推移(1年分)
- キャンペーン別の成果の推移(1年分)
- キーワード別の成果(該当月分)
- 広告文別の成果(該当月分)
これらのデータはWeb広告の運用には欠かせないもの。しかし、複数のキャンペーンや訴求軸で広告を実施している場合、広告文やキーワードの数は数百個という膨大な量になります。
すべての成果を確認するにはリソースが足りないため、月次レポートでは詳細なデータは提出されないことがあります。しかし、そんな細かすぎて記載されていない、もしくは確認を疎かにしている要素が思わぬ無駄を生み、積み重なって大きなムダ費用になっていることがあるのです。
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短期間では見えない費用の無駄遣い
ひと月分の成果を確認していると「獲得には繋がっていないけど少しの費用しかつかっていないからこのままで」と気にも留めていない要素はありませんか。しかし、年間を通して確認してみると、そんな『少額』が積み重なり『多額』の無駄費用になっていることがあります。
キーワード・検索クエリ成果は年間で確認
月間で見れば数百円、数千円程度の費用しかつかっておらず、WEB広告全体の獲得単価に悪影響を与えているようには見えないキーワード。しかし年間を通して集計したものを見ると、数万円もつかっているのに獲得に繋がっていない場合があります。
また、着目されやすいキーワードだけでなく、ユーザーの検索語句である検索クエリにも無駄費用は発生しています。特に自社と関連のないクエリの場合は、獲得に繋がる可能性が限りなく低いので注意して確認する必要があります。
▼表1)検索クエリ 月間レポート例
これはあるオークションサイトのクエリレポート例です。上記のようなひと月分の検索クエリのレポートの場合は、下2つの検索クエリより上2つの獲得がある検索クエリに着目してしまいませんか?
実はこのサイトには「中古品回収」や「中古車販売」のサービスがないため、下記2つのクエリはサービスと直接関連がありません。明らかに不要なクリックではありますが、発生費用が少額でクリック数も多くないため「まあとりあえず入れとくか」と見落としてはいませんか?
実はこれこそが無駄費用が発生するポイントです。
▼表2)検索クエリ 年間レポート例)
次に、集計期間を1年間に延ばした検索クエリのレポートを確認してみましょう。ひと月分のレポートでは数百円の費用で済んでいた下2つの検索クエリが、なんと合計で8,000円以上に。この場合は「回収」「中古車」というクエリを除外して、広告を出ないように設定する必要があるでしょう。
このような成果に繋がらずに費用のみが嵩張っていく検索クエリは、実は気付いていないだけで多く隠れているのです。
キーワードも検索クエリも1つ1つを見れば費用は少額ですが、年間など長い期間でまとめてみると費用は『多額』の無駄になっていることがあります。そのため定期的に長期間をまとめたデータを確認し、キーワード停止・検索クエリ除外を行うことが、無駄費用の削減につながります。
成果に繋がらないサイトリンクこそ影の浪費家
広告表示オプションの一つである「サイトリンク」でも、費用の無駄づかいがある場合があります。WEB広告の要ともなる広告文。その広告文を構成する見出しと説明文の下に表示されるサイトリンクも、ユーザーの検索時に同時に表示されることがあり、同様にクリックの対象となります。
しかし、月次レポートに取り上げられるのは、広告文のメインである見出しと説明文が主。広告の表示範囲を広げ、ユーザーの利便性も上昇させることから利用が推奨されるサイトリンクですが、獲得単価に悪影響を与えている場合があります。
▼表3)サイトリンクレポート例
上記のようにページ別にサイトリンクを比較した場合、「料金」ページへのサイトリンクはクリック率がよいですが、獲得単価はかなり高くなっています。同じ獲得数なのに掛かる費用が多いサイトリンク、これがムダ費用の発生ポイントです。
広告文の良し悪しを判断するのに加えて、サイトリンクの精査も定期的に行い、停止の判断を行うことが必要です。サイトリンクのレポートが一度も出されたことがないのであれば、広告文に隠れたサイトリンクの無駄費用の見落としがあるかもしれません。
ムダになりがちなデバイス&プレースメントの例
上述したように、Web広告の要素として挙げられやすいキーワードや広告文。しかし、それ以外の要素にも無駄費用を生み出しているポイントがあります。Web広告で配信対象となるデバイスやプレースメントごとの確認が、無駄費用を削減することに繋がります。
携帯端末(タブレット、スマホ)
多くの配信媒体では「PC」「スマホ」「タブレット」などの配信デバイスでレポートが出せます。デバイスのレポートを確認したら、タブレット・スマホに配信が偏っていたということもよくあります。配信量が多いことは良いことのように思えますが、本当に獲得に繋がっているかを確認することが必要です。配信量が多くても獲得が少なければ、費用を無駄にしている可能性があるからです。
デバイスによってサイトの利便性に差異があったり、フォームの入力が面倒でタブレットやスマホでは離脱ユーザーが多かったりなど、ムダ費用以外にも気付いていなかった改善すべき内容を発見するチャンスにもなりえます。
テレビ画面(獲得目的の場合)
Googleのディスプレイ広告の配信デバイスには、「テレビ画面」というものがあります。
「Web広告を実施しているのに『テレビ画面』?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。「テレビ画面」は、スマートテレビやゲーム機、接続型デバイス(コネクテッドTV)を用いてYouTubeを観る際に配信されるデバイスです。近年、テレビ画面でYouTube視聴が増加しており、重要性が高まっています。
ところが「獲得目的でのテレビ画面配信は完全な無駄費用」です。テレビ画面に配信される広告はクリックでウェブサイトへの誘導ができません。
家族や友人など複数のユーザーが集まっている状況では、大きな画面で広告を一度で複数のユーザーの目に触れさせることが可能といったユニークなメリットなどもありますが、ウェブサイトから獲得に繋げる商材などはフォームまでたどり着く可能性がゼロなので、完全に無駄な費用となってしまいます。
YouTube(獲得目的のディスプレイ広告の場合)
サイトやアプリ内の広告枠に配信されるディスプレイ広告ですが、その配信面の内訳にも無駄費用の見落としポイントが存在しています。
複数のサイトやアプリなどの中でも、動画サイトの代表であるYouTubeは利用者も多く広告が配信されて表示される機会が多くなっています。広告の露出が多いため認知拡大に利用されやすいですが、それと同時に費用も多くつかう広告配信面です。
獲得に繋がっていないのに多額の費用をYouTubeへの配信で浪費していないかを確認するために、ディスプレイ広告実施の際はプレースメントレポートを気をつけて確認してください。
オーディエンスネットワーク
Facebook広告、Twitter広告、LINE広告などのSNS広告において、媒体SNS以外の提携アプリに広告を配信できるのが「オーディエンスネットワーク」と呼ばれる配信面です。オーディエンスネットワークを利用することで、リーチ数の増加やクリック単価を抑えたサイト誘導が見込めます。オーディエンスネットワークへの配信も、しっかり獲得に繋がっているか確認が必要です。
SNSへの配信と比較するとオーディエンスネットワークへの配信量はかなり少ないため、獲得がなくムダ費用が発生していても見逃されやすいポイントとなっています。短期間だけで見ていると、無駄が積み重なっていることに気づけないかもしれません。
キーワードや検索クエリと同様に、半年から一年といった長期間の成果を確認することで、費用の無駄づかいを防ぐことができます。
「自動最適化」にご用心
月次レポートや報告で「自動最適化」という言葉を耳にしたことはありますか?
広告掲載のデータを日々蓄積することで、プレースメントや入札単価などを自動的に調整してくれる機能を指します。内容や適応範囲は媒体によって様々ですが、1つ1つの広告配信機会に合わせた調整がおこなえるため、広告成果の向上に一役買う機能でもあります。
便利な機能ではありますが、最適化の判断に使うデータ量と質が十分でないがために、結果として獲得に繋がらないケースがあります。始めたばかりのキャンペーンや、獲得の少ないキャンペーンなどでそのようなケースが多く見られます。
各媒体は配信の自動化を推奨しており、多くの場合、実際に成果が出ます。しかし万能とは言い切れません。月次レポートなどで見たことがないのであれば、見落としポイントになっていないか一度代理店に確認することも重要です。
長期間での成果確認・細かい要素の確認が費用の無駄づかいを防ぐ
1つ1つは細かく見逃しやすい要素であっても、積もりに積もって多額の無駄遣いになっていたり、詳細を確認できていないために、無駄が発生していたり…。そんな「無駄費用の見落とし」があちこちに転がっているかもしれません。
今まで月間でしか成果を確認したことがなかったのであれば、半年や1年間で確認してみる。デバイスやプレースメントごとの成果を確認したことがなければ、細かく確認してみる。そんな少しのことでも、削減できる無駄がたくさんあるはずです。
今一度、月次レポートの記載に隠れた「無駄」を探してみてください。