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2020.09.29

丸投げ厳禁。医療広告ガイドラインは広告主と代理店の双方の理解が必須な理由

 医療広告は、広告代理店に全て任せっきりにしてしまうと、なかなか掲載が始められなかったり、掲載が開始してもトラブルが相次いでしまったりすることのある、ルールや規制の多い広告です。掲載をスムーズにすすめるためには広告主にも医療広告についての知識は最低限必要です。

 医療広告とは何なのか、どういった対処法があるのかを事前に理解しておきましょう。

広告代理店に最低限の知識が無ければ医療広告は始められない

 Q.広告代理店は通常の広告運用の知識のみで医療広告を扱えるか?

 答えは「NO」

 医療広告に関しては、運用のスキルや知識とは別に、国や媒体が定める規定を最低限理解しておくことが必要です。「とりあえず」とノー勉で挑んでしまうと、広告の審査の時点で躓いてしまい、いつまでたっても広告が掲載できないという自体になりかねません。

 ですので、広告代理店側にも医療広告を理解してもらうことは必要不可欠です。依頼しようと思っている広告代理店には医療広告の実績や、対応可能な体制が整っているのかを事前に確認しておきましょう。

医療広告=客観的で正確な情報の伝達の手段

 なぜ広告代理店に医療広告の実績や知識が必要なのか?まず始めに理解しておきたいのが、一般広告と違って医療広告は、ユーザーの適切な医療受診のための「伝達の手段」であるということ。

 婚活サービスであれば「運命の人に出会えるかも!」、アパレル広告なら「サマーセール実施中!!!」と、それぞれのサービス内容に沿ったキャッチコピーや価格の訴求を広告に盛り込むところですが、医療広告では上記のような訴求はNG。

 間違っても「手術成功率100%!」や「今なら◯◯◯円引き!」といった訴求をしてはいけないのです。

 「手術成功率100%!」は絶対に安全な手術等は医学上ありえないので「虚偽広告」として、「今なら◯◯◯円引き!」は費用を強調しているため「品位を損ねる内容の広告」として禁止されています。 その他にも、法第6条の5第2項の規定及び医療法施行規則第1条の9により、以下の広告は禁止されています。

(ⅰ) 比較優良広告

 例:当院は医師数全国一位です。

(ⅱ) 誇大広告

 例:比較的安全な手術です。

(ⅲ) 公序良俗に反する内容の広告

  例:極端に露出が多い画像や残虐な画像

(ⅳ) 患者その他の者の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告

 例:「一ヶ月で効果が出た!」とのお喜びの声をいただいています。

(ⅴ) 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の 写真等の広告

 例:脂肪吸引手術の前後比で、手術後の画像を加工して手術前との差をわかりやすくする

 このように医療広告には禁止事項が多いため、広告代理店が普段どおりに広告を作成すると禁止事項満載の広告ができあがってしまう可能性があります。

医療は「人の生命・身体」に関わり、専門性が高いサービス。それ故禁止事項が多い

 医療広告が、費用の訴求やその他たくさんの訴求が禁止されている理由。それは「医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害は、他の分野に比べて著しい」からであり、そして「医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難」であるからです。(引用:医療広告ガイドラインp.1)

 だからこそ医療広告は事実に沿った内容且つ、患者さんが適切な受診の機会を損失したり、不適切な医療を受けたりということが無いよう、客観的で正確な情報伝達の手段として注意を払うことが求められるのです。

 では違反をしてしまったらどうなるのでしょう?これらはあくまで「医療広告ガイドライン」で定められているものであって、媒体の審査基準ではありません。

 そのため、審査をくぐり抜けて広告配信自体は問題なく実施できるということもあるかと思います。 ですが、ガイドライン違反を続けてしまうと広告主、代理店共に法による指導等の対象となることもあります。

 媒体の広告審査に通った=医療広告のガイドラインを遵守している、ということではないので気をつけましょう。

間接的な表現も「誇大広告」に該当する可能性があるため、医療広告では封印がベター

 禁止事項が多くて断定的な表現ができない…となると、ふわっとした間接的な表現に変えればいいのでは…と思ってしまいますがこれも医療広告ガイドライン上はもちろんNG。

 例えば、病人が回復して元気になる姿のイラストは「回復が保証される!」という誤った認識をユーザーに与えてしまうのでNG。リンク先のURLにこっそり「no1」や「saikou」といったテキストを入れることも禁止されているのでご注意を。クリニックが雑誌や新聞で紹介された旨も、広告可能な事項では無いので要注意です。

 間接的な表現であっても、禁止に該当するものは「誇大広告」として審査落ちしてしまうため、医療広告の場合は「客観的な情報」ということに重点を置いた訴求がベターなのです。

広告主と代理店の事前準備と連携が、掲載開始・再開の最短ルート

 広告代理店側にも医療広告の知識は必須。そしてもちろん逆も然りです。

 代理店側に掲載準備や指示を全委託してしまうのはとても非効率的。あくまで、双方の医療広告への理解と協力が必須なのです。 その上で、事前に代理店側に確認しておいてほしいことや万が一の対応をすりあわせていき、認識の違いや二度手間をしっかりと予防しましょう。

広告代理店に全委託は非効率的

 「LPもクリエイティブも制作は代理店だから、医療広告の面は全部任せちゃおう」と思っている方はご注意を。広告代理店側の制作が医療広告をしっかりと理解しているものであっても、思わぬところが原因で医療広告ガイドラインを違反していることもあります。

 例えば、LPとウェブサイトが完全に分離しておらず、申し込みフォームで合流する場合。

 よく見られるケースではありますが、この場合申し込みフォームからWebサイトに遷移が可能なため、Webサイト全体が広告に該当することになります。この場合は、Webサイトを医療広告ガイドラインに則ったものにする、または申し込みフォームをWebサイトに遷移することのできない独立したものにする必要があります。

 その他にもサイト内の特定のページへのリンク を広告に追加表示することのできる「サイトリンクオプション」など、メインのリンク先にWebサイトを設定していない場合でも、Webサイト自体が「広告」の領域となるため、医療広告としての対応が必要となります。

 LPやクリエイティブ制作を自社で行っている場合や、リンク先をWebサイトに設定する場合は尚更。制作が完了した後から、「ここが原因で審査落ちしました!」「修正してください!」と広告代理店から連絡が来るたびに修正をしていては、二度手間、三度手間となってしまいます。

 Webサイト制作もクリエイティブ制作も全て広告代理店に一括して頼んでいる場合を除いては、広告主側がしっかりと「どこまでが広告なのか」ということを把握したうえで、「医療広告」というものを理解しておくことが必要です。

 ここでまず目を通しておくべきは、厚生労働省の定める「医療広告ガイドライン」。各配信媒体の規定もこの「医療広告ガイドライン」に則って作成されているため、掲載にあたっては第一に確認しておきたいところ。厚生労働省のホームページ上で無料公開されています。媒体側の定める規定も概ねカバーできるため、必ず目を通しておきましょう。

事前の指示出しによる連携で「掲載停止」のダメージを軽減

 医療広告で一番頻発し、掲載に大きなダメージを与えてしまうのが広告の掲載停止。これらは媒体側が設ける広告の審査基準を違反している場合に起こってしまいます。医療広告の場合は、医療広告ガイドラインを元に媒体側の審査基準も概ね設けられているため、イメージとしては、「媒体の審査基準⊂医療広告ガイドライン」といったところです。

 媒体の審査基準を網羅できず、広告の内容やリンク先が審査落ちし、広告が全停止してしまうことも珍しくはないです。

 そんなとき、広告代理店と連携がうまく取れていないと、「審査が通らず掲載停止が一週間続いている」「審査落ちを繰り返しすぎてアカウントが停止になってしまった」ということにもなりかねません。

 しかし、掲載開始の前に代理店側にとってもらいたい行動を指示し、連携のフローを広告主と代理店で確立しておくことで、掲載停止の期間は短縮することができるのです。

「絶対に審査落ちしない」訴求を用意

 広告の施策改善を繰り替えしていくうちに、規定ギリギリを攻めた訴求を代理店側が提案してくることがあるかもしれません。しかし、そういった攻めた広告文ばかりを採用していると、いつの間にか配信当初、慎重につくった規定を守っている広告が無くなってしまうでしょう。

 これは、広告が全て審査落ちしてしまい、掲載が停止してしまうリスクがあるため注意が必要です。

 一度審査に通った広告も、媒体側のタイミングである時突然再審査が入る場合があります。この時、規定を守っていない広告文は審査落ちしてしまう可能性が高く、全ての広告がこれに該当してしまうと、一時的に広告の掲載は停止してしまいます。

 そのためしっかりと規定を守った訴求、絶対に審査落ちしない確信の持てる訴求を1つは残しておいてもらうようにしましょう。

掲載状況の確認頻度

 しつこいようですが、医療広告は審査落ちが多いです。そのため、広告代理店に広告の掲載状況の確認頻度を指定しておくことをおすすめします。審査落ちに気づかず、丸々1ヶ月が経っていた…なんてことを未然に防ぐことができます。

・媒体毎の掲載状況⇒毎営業日確認

・広告の掲載状況⇒1週間毎に確認

広告の審査落ちの際のフロー確立

 広告が審査落ちした際は、大きく分けて以下の過程が発生します。

 審査落ち理由の確認(代理店)⇒修正案作成(代理店)or修正(代理店または広告主)⇒入稿(代理店)⇒再審査(3営業日前後)⇒掲載再開

 スムーズに進めば3営業日程で掲載再開までたどり着きますが、確認が遅れたり、再審査に度々落ちたりしてしまうと5営業日以上の日数がかかってしまいます。

 なるべく最短且つ、掲載停止の期間を短くしたい場合は

・広告主のチェック不要の広告文の用意(審査対策用)

・広告主側で修正が必要な場合は、判明した時点で電話にて最短の連絡

 等を代理店に指示しましょう。また、広告主側で修正が必要な場合、対応にどれくらいの時間を要するかなど、お互いの対応状況を共有しあうことも大切です。フローを確認、確立しておくことで万が一の際に、最短で広告再開までたどり着けます。

媒体毎の事前審査

 広告文やリンク先の審査落ちは各媒体の管理画面や、サポートサービスへの問い合わせで確認することができます。ですが、この確認では「審査落ち」をしてしまった場合にのみ、問題がある箇所が判明するため、事前に広告文やリンク先の内容に問題が有るのかまでは分かりません。

 媒体によっては事前審査や媒体の担当者による掲載可否の確認を依頼することが可能なので、掲載開始までに時間がある場合はこちらの利用をおすすめします。

事前審査の有無

◯Yahoo!検索広告

◯Yahoo!ディスプレイ広告

△Google広告(アカウント、代理店の営業担当者による確認可能 )

△Facebook広告(アカウント、代理店の営業担当者による確認可能)

△Twitter広告(アカウント、代理店の営業担当者による確認可能)

※配信アカウントの事前審査が別途有り※

△LINE広告(アカウント、代理店の営業担当者による確認可能)

 上記のように、ほとんどの媒体がオフィシャルな事前審査を行っていない一方で、広告代理店についている担当者によって掲載可否の確認が可能な場合が多いです(広告代理店によって、媒体の担当者がついている場合とついていない場合があるので、事前に確認しておきましょう)。掲載が開始してから審査落ちを繰り替えしてしまわないよう、掲載準備の段階で事前審査に出しておくことをおすすめします。

担当弁護士の対応可否の確認

 そして最後に、広告代理店に担当弁護士がついている場合は、掲載内容の確認を対応してもらえるか事前に確認してもらいましょう。掲載内容や、違反を繰り替えしてしまった場合のリスクや対応等、法律を専門的に扱っている弁護士の方に確認をとることで、より安全に広告掲載をすすめることができます。

広告主の医療広告への理解と、広告代理店との連携が掲載をスムーズにすすめる鍵

 医療広告の掲載は、通常の広告と比較すると知るべきことややるべきことが多くあります。一方で、そういった事前準備に時間を割いていても、審査落ち等で掲載開始が遅れてしまったり、掲載が停止してしまったりということはどうしても出てきてしまいます。

 ガイドラインを理解するということだけでなく、広告主と広告代理店の連携を強化し、役割や対応を明確化することで、審査落ちしてしまった場合も早い段階での対処が可能となります。

 また、本記事では医療広告について、そして掲載にあたっての準備等をご紹介しましたが、実際に審査落ちしてしまった事例や、改善方法については別記事にてご紹介させていただきます。