Meta広告のASCとは?導入するメリットや注意点を解説
Meta広告のASC(旧Advantage+ ショッピングキャンペーン、現Advantage+ セールスキャンペーン)はオンラインでの売上拡大を図る広告主がパフォーマンス効率を最大化するための配信メニューです。一言でいうと、「MetaのAI(人工知能)が、広告の設定や最適化を自動で肩代わりし、商品の購入(コンバージョン)を最大化してくれる機能」です。手動の設定項目は少なく、主にAIの自動化によって広告を配信できます。
本記事ではMeta広告のASC(Advantage+ ショッピングキャンペーン)の概要と設定方法、配信実績について解説します。
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目次
Meta広告のASCとは
ASCとは「Advantage+ ショッピングキャンペーン」の略称で、Instagram、Facebookで配信できるメニューのひとつです。ASCはMetaの最新の機械学習モデルを活用して、広告の配信や設定を自動化することでより効果的な広告配信を実現する機能です。
AIが膨大なデータを分析し、最適なターゲットやクリエイティブを自動で選択することで広告効果の最大化を目指してくれます。設定項目が少なく、初心者でも比較的簡単にスタートできます。
名称に「ショッピング」が含まれるため、ECサイトなど小売業で導入できる広告メニューに見えます。しかし「登録完了」や「その他のカスタムイベント」のコンバージョンも設定でき、小売に限らず幅広い商材とサービスで活用できます。
参考ページ:Advantage+ セールスキャンペーンについて
仕組み
ASCは、広告主が設定した「コンバージョン(多くの場合は商品の購入)」を最終的な目的として、AIが以下の要素を自動で最適化します。
| 自動化される要素 | AIがやってくれること |
| ターゲティング | 新規顧客と既存顧客(リターゲティング対象)の両方に自動で配信 「誰が一番買ってくれそうか」AIが判断 |
| 配信面 | Facebook、Instagram、Messengerなど、 Metaが持つ全ての配信面の中から、最も成果が出やすい場所を自動で選択 |
| クリエイティブ | 登録された複数の画像・動画・テキストを組み合わせ、 最も反応の良いパターンを自動でテスト・配信 |
| 予算配分 | 設定された総予算の中で、 「新規顧客向け」と「既存顧客向け」の予算をAIが最適に振り分け |
ポイント
ASCでは、AIが「新規顧客」と「既存顧客」を自動で判別します。 広告主はキャンペーン全体の予算とは別に、「既存顧客(過去に購入した人やサイト訪問者)に使う予算の上限」を設定することができます。
向いているケース
ASCは特に以下のような場合に効果を発揮します。当てはまる場合は特に導入を検討しましょう。
・Eコマース(ECサイト)で商品を販売している(ほぼ必須条件)
・広告運用の手間を減らしたい(AIに任せたい)
・Meta広告の運用が初めて、または慣れていない
・細かいターゲティング設定に自信がない
・とにかく「購入数」を最大化したい
ASCのメリット
ASCを設定して広告配信を自動化することにより、工数を削減できたり、パフォーマンスの高い広告やターゲットに予算を集中させることができます。
ASCで広告配信を自動化するメリットを3点ご紹介します。
①キャンペーン全体の自動化により、工数の削減ができる
ASCでは、詳細なターゲット設定や広告セット単位での細かな設定作業が不要になります。
また、配信後もターゲットや配信面が自動で最適化されるため、運用工数の削減が期待できます。
②新たな潜在顧客にリーチできる可能性がある
ASCではFacebookのAIがターゲットを自動で最適化してくれるため、従来のキャンペーンのように細かく設定する必要がありません。幅広いユーザーに配信することで、どのようなユーザー層で獲得効率が高いかをAIが学習し、手動設定よりも高い精度でターゲティングできます。また想定していなかった新たなユーザー層へリーチできる可能性があり、コンバージョン数の増加が期待できます。
③クリエイティブが最適化される
ユーザーの閲覧履歴や興味関心などのデータから、その嗜好や行動をAIが学習します。これにより、複数ある広告の中からユーザーと関連性が高くパフォーマンスの良い広告が配信されるように最適化されます。
ASCを導入するときの注意点
ASCを最大限に活用するためには、AIがその能力を最大限に発揮できる環境を整える必要があります。
AIの機械学習を妨げる可能性がある注意点を3つまとめました。ASCの導入前に確認しておきましょう。
①AIの機械学習のために推奨されているCV数を満たす
ASCの導入条件として「週あたり50件以上のCV(商品購入など)」が発生していることが推奨されています。推奨されるCV数に満たない場合は、AIの学習に必要なデータ量が足りず、ターゲティング精度が低くなることが懸念されます。
推奨CV数を確保するための対応として、MCV(マイクロコンバージョン)を設定することも1つの手段です。MCVについては下記の記事をご参照ください。
②クリエイティブのフォーマットを網羅する
クリエイティブのフォーマットは可能な限り網羅的に設定します。例えば、動画、静止画、カルーセルの形式や、それぞれのアスペクト比について設定できる種類はすべて準備します。
クリエイティブのフォーマットが偏っていると、限られた配信面にしか配信できません。ユーザーによって表示されやすいクリエイティブのフォーマットが異なるため、リーチするユーザーに偏りが生じたり、リーチ数が低下する恐れがあります。
③配信設定は可能な限り編集をしない
広告の配信中に設定を大幅に変更すると、AIの学習がリセットされ、広告効果が安定しない場合があります。
場合によっては配信効率が低下し、成果の悪化に繋がる可能性があるため、配信中はできるだけ編集を控えましょう。
ASCの入稿方法と設定項目一覧
Meta広告のASCの設定方法を解説します。
設定項目が少ないため簡単に入稿できますが、事前準備が必要です。
ASCを始める前に必要なもの
ASCを効果的に利用するためには、以下の準備が必要です。
Metaピクセルの設定
商品を売っているECサイトに「Metaピクセル」というコードを設置し、「購入」や「カート追加」などのイベントが正しく計測できている状態にする必要があります。これがAIの学習データになります。
商品カタログの作成
ECサイトの商品データをMetaに連携させた「カタログ」が必要です。これにより、精度の高い広告(ダイナミック広告など)がASC内で自動配信されます。
広告クリエイティブ(画像・動画・テキスト)の作成
AIがテストできるよう、複数のパターンを用意しておきましょう。
現在(2025年)のMeta広告において、「Metaピクセル」単体での計測は不十分です。iOSのトラッキング制限(ATT)の影響を補完する「コンバージョンAPI(CAPI)」の併用が、AIの学習精度を維持・向上させるために実質的に必須となっています。
参考ページ:Metaビジネスヘルプセンター「Metaピクセルについて」
ASCの入稿方法
ASCは下記の手順で入稿します。
①広告マネージャを開き、[作成]をクリックします。

②キャンペーンの目的で[売上]を選択し、[次へ]をクリックします。

③画面右側に「Advantage+セールスキャンペーン」と表示されるので、「オン」であることを確認します。

ASCでは、AIによる最適化を優先するため、通常のキャンペーンのような詳細なターゲティング(年齢、性別、興味関心など)の手動設定は行いません。ただし「オーディエンスの提案」として、最低年齢の設定、特定の地域やカスタムオーディエンス(例:既存の購入者)の「除外」は設定可能です。

ASCも管理画面上は通常のキャンペーンと同様に「キャンペーン」「広告セット」「広告」の三層構造です。それぞれの階層で設定できる項目は下記のとおりです。
キャンペーン
| 設定項目 | 詳細・補足 |
| 購入タイプ | オークション(推奨)、予約から選択 |
| Advantage+ カタログ広告 | 人それぞれの興味・関心、意向、アクションに合わせて関連する商品やサービスを自動的に宣伝する機能。オンオフを選択 |
| 予算 | 広告セットまたはキャンペーン単位で一日の予算を設定 |
| キャンペーン入札戦略 | 広告オークションでの入札のしくみを選択 |
| A/Bテスト | 複数キャンペーンの成果を比較する機能。オンオフを選択 |
| 特別な広告カテゴリ | 金融商品およびサービス、雇用、住宅、社会問題、選挙または政治に関連した広告の場合は申告が必要 |
広告セット
| 項目 | 詳細・補足 |
| コンバージョンの場所 | ウェブサイトとアプリ(または両方)どちらでコンバージョンを獲得するか選択 |
| パフォーマンスの目標 | コンバージョン数の最大化、コンバージョン値の最大化、リンククリック数の最大化、ユニークリーチを最大化、インプレッション数を最大化から選択 |
| バリュールール | コンバージョンごとに価値を設定して優先度を指定できる(任意) |
| 宣伝する商品 | 広告の配信対象とする商品セットを選択 |
| 予算と掲載期間 | 広告セットの予算制限やスケジュール(開始日と終了日)を設定 |
| オーディエンス | 基本的にはAIによって自動でターゲティングされるが、「提案」として年齢、性別、興味関心、利用者層、行動を指定可能 |
| コンテンツタイプの除外 | ライブ動画を配信対象から除くか選べる |
広告
| 項目 | 詳細・補足 |
| パートナーシップ広告 | 広告主がパートナーのクリエイター、ブランド、その他のビジネスと連携して広告を配信する機能。オンまたはオフを選択 |
| 名義 | 広告で使用されるプロフィール。Facebookページ、Instagramアカウント、Tsreadsプロフィールを紐づけ可能 |
| フォーマット | シングル画像または動画、カルーセル、コレクションから選択 |
| 複数広告主の広告 | 同じジャンルの他の広告と一緒に表示される機能。オンまたはオフを選択 |
| ウェブサイトのURL | 広告の飛び先とするURL |
| ディスプレイリンク | 表示用の短いURL(ウェブサイトURLと同一ドメインのものに限る) |
| iOSディープリンクAndroidディープリンク | アプリ内のどこに誘導するか指定できる |
| クリエイティブ | 広告テキスト、メディア、エンハンス(クリエイティブに加工を施す機能)を選択 |
| コールトゥアクション | 購入する、などの具体的なアクションを示す文言を選択 |
| Advantage+ クリエイティブ | 画像を最適化する機能(自動適用される場合がある。意図しない表示になっていないか要確認) |
| クリエイティブテスト | 複数パターンを比較する機能 |
| 言語 | 異なる言語で広告を作成する場合はオンにする |
| トラッキング | トラッキングするコンバージョンイベントを選択。広告アカウントで選択されているコンバージョンデータセットがデフォルトでトラッキングされる。 |
| URLパラメーター | 計測用のパラメータを設定 |
※通常のキャンペーンでは1つの広告セットに50本まで広告を設定できますが、ASCでは広告は150本まで設定可能です。
ASCでは、「Advantage+カタログ広告」の活用をおすすめします。詳細は下記で解説しています。
まとめ
Meta広告の自動配信によるターゲティング精度は高いため、手動設定よりも成果が改善できる可能性があります。もしも獲得数や獲得単価に課題がある場合は導入を検討してみてはいかがでしょうか。
弊社では無料でご相談を承っております。広告掲載に関してお困りのことがあればお気軽にお問い合わせください!
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