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2024.07.16 更新
2024.07.16 更新

知っておくべき「ステマ規制」の対象範囲と具体例をご紹介!

Written By
S.S.

広告運用オペレーター/コンテンツライター

「ステマ規制」の簡単な概要と、規制の対象範囲、具体例を紹介していきます。

本記事は、消費者庁HP内PDFデータ「景品表示法とステルスマーケティング~事例で分かるステルスマーケティング告示ガイドブック」を参考にしています。

1.ステマ(ステルスマーケティング)とは?

▽消費者庁より引用

簡単に言うと、事業者が広告であることを隠して行う広告手法を指します。
インフルエンサーなど第三者が事業者(広告主)から広告・宣伝の依頼を受けたにもかかわらず、SNS等に自身の感想として投稿する行為などがステマにあたります。

消費者は、商品やサービスに関する投稿(表示)を見たときに、それが事業者自身の関与している広告なのか、それとも第三者による自主的な意見なのかを、購入や申し込みの判断材料としています。
広告と認識できている場合、そこに記載されている情報は第三者の意見よりも信憑性が低いと判断したうえで検討することになるでしょう。
しかし、広告ではないと偽ると消費者に”第三者の意見である”と誤認させてしまいます。このことから、消費者を欺く広告手法であることが問題視されています。

2.ステマ規制とは

令和5年10月1日からステマ(ステルスマーケティング)は景品表示法違反となりました。
違反行為が認められた場合、事業者に対して措置命令が行われます。

▼景品表示法違反について詳しく知りたい方は、こちらもチェック

3.規制の対象者

規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。
以下のものは規制の対象には含まれません。

・広告・宣伝の表示の制作に関与しただけの者(広告代理店、インフルエンサー、アフィリエイターなど)
・表示を掲載しただけの者(新聞社、出版社、放送局など)
・ただ単に商品・サービスを陳列して販売している者(小売業者など)
・取引の場を提供している者(オンラインモール運営事業者など)

4.規制の範囲内

ステマと判断された場合、規制の対象となることがあります。
ではどんな場合がステマと判断されるのでしょうか?
規制の対象となる場合、ならない場合の具体例を確認し、理解を深めていきましょう。

4-1.規制の対象となる可能性のある場合

何が規制の対象となるかは「誰」が何の「目的」で行ったのかを総合的に考慮し、判断されます。
下記に述べる規制対象となる”事業者”に該当するかについては、従業員の事業者内における地位、立場、権限、担当業務によって判断されます。

「誰」が

事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員であり、販売や開発に係る役員、管理職、担当チームの一員などが該当します。

何の「目的」で

販売促進や認知拡大など、自社の利益を目的としている場合が該当します。つまり広告・宣伝のことです。

該当の事業者が本人自らもしくは第三者に依頼し、「広告であることを隠して行う表示(宣伝・広告行為)」は規制の対象となります。逆に言えば、ユーザーに誤解を与えないよう一目で広告と分かる表示になっている場合は、規制の対象には該当しません。

▼規制の対象となる表示

①事業者が自ら行う表示
②事業者が第三者になりすまして行う表示
③事業者が明示的に依頼・指示をして第三者に表示させた場合
④事業者が明示的に依頼・指示していない場合であっても、 第三者に表示させた場合となるもの
⑤一般消費者が事業者の表示であることが不明瞭で分からないもの

①事業者が自ら行う表示

具体的には下記の場合が該当します。
・事業者が自らの商品パッケージに表示する場合
・事業者が自らのSNSのアカウントに、自社の商品について表示(投稿)する場合
・事業者が自らのウェブサイトに、自社の商品に関する内容を表示する場合

②事業者が第三者になりすまして行う表示

事業者と一定の関係性を有し事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員であり、販売や開発に係る役員・管理職・担当チームの一員が行うSNS投稿などは、規制の対象となり得るため、注意が必要です。

▼具体例

・販売に係る役員管理職が、当該商品を販売促進または認知させる目的で該当商品の画像をSNS等に投稿(表示)する場合
・販売担当者が自社製品と競合する他社の製品を誹謗中傷し、自社製品の品質・性能の優良さについて言及する投稿(表示)をSNS等で行う場合

③事業者が明示的に依頼・指示をして第三者に表示させた場合

事業者が第三者に商品やサービスに関する投稿を依頼・委託した場合などが該当します。

▼具体例

・事業者が、インフルエンサーに商品の特徴などを伝えた上で、インフルエンサーがそれに沿った内容をSNS上や口コミサイト上に投稿(表示)する場合
・事業者が、ブローカー(レビュー等をSNS等において募集する者)や、商品の購入者に依頼し、通常よりも良いレビューを書いてもらう場合
・事業者が、アフィリエイト広告を使う際に、アフィリエイターに委託して自らの商品を表示させる場合
・事業者が、他の事業者に依頼して、競合事業者の商品について、自社商品と比較して低い評価を投稿(表示)させる場合

④事業者が明示的に依頼・指示していない場合であっても、 第三者に表示させた場合となるもの

第三者に対し具体的な依頼や指示をしていない場合であっても、規制の対象となる場合があります。
該当するかについては、事業者と第三者のメールや口頭でのやり取り等の内容、対価の内容・目的、両者の関係性などの実態を踏まえて総合的に考慮し、判断されます。

▼具体例

・事業者が、インフルエンサー等の第三者に対し、無償で商品提供した上でSNS投稿を依頼した結果、第三者が事業者の方針に沿った投稿(表示)内容を行った場合
・事業者が、インフルエンサー等の第三者に対し、経済上の利益があると言外から感じさせたり、言動から推認させたりして、第三者がその事業者の商品について表示(投稿)を行った場合

⑤一般消費者が事業者の表示であることが不明瞭で分からないもの

例え、事業者自らの投稿であることや広告であることを表示したとしても、ユーザーがそれを認識できない場合は規制の対象となる場合があります。

▼具体例

・事業者の表示であることが全く記載されていない場合
・アフィリエイト広告において事業者の表示であることを記載していない場合
・事業者の表示である旨について、部分的な表示しかしていない場合
・冒頭に「広告」と記載し、文中に「第三者の感想」と記載するなど、事業者の表示である旨が分かりにくい表示である場合
・動画において、認識できないほど短い時間で、「これは広告です」などといった事業者の表示である旨を表示する場合
・広告であることが明記されているが、他のテキストと比較し「広告」の文字をあからさまに小さく表示する、「PR」の文字を背景色と類似の色で表示するなど、事業者の表示であることを認識しにくい、文言・場所・大きさ・色で表示する場合
・SNS等で事業者の投稿(表示)であることを大量のハッシュタグ(#)の中に表示する場合

4-2.規制の対象にならない場合

自社の販促や認知拡大を目的とした投稿(表示)であっても、広告であることを分かりやすく明記している場合や、事業者に当たらない従業員の自主的な意見である投稿(表示)などは該当しません。

▼具体例

・事業所または子会社の従業員がSNSへの自社製品の投稿した場合であっても、該当商品の販売を促進することが必要とされる立場にない者が、一般消費者でも知り得る情報を販売促進を目的とせず行う場合
・第三者が、自主的な意思に基づきSNS等に投稿(表示)をする場合
・事業者が、インフルエンサー等の第三者に無償で商品又は役務を提供してSNS等への投稿を依頼するものの、インフルエンサー等の第三者が自主的な意思に基づき投稿(表示)する場合
・第三者が自主的な意思に基づき、ECサイトの「レビュー」機能を通じて商品等のレビュー表示(投稿)を行う場合
・事業者が自社の商品のレビューを書いた購入者に対して、レビューの謝礼として割引クーポン等を配布する場合、購入者が自主的な意思に基づき投稿(表示)内容を決定した場合
・第三者が、SNS上のキャンペーンや懸賞に応募するために自主的な意思に基づき投稿(表示)を行う場合
・事業者が第三者の口コミなどを利用する場合であっても、良い口コミだけを抽出せず変更を加えることなく、そのまま引用する場合
・事業者が、試供品等の配布を行った結果、受け取った第三者が自主的な意思に基づき投稿(表示)を行う場合
・事業者が、広告目的でない単なるプレゼントをした結果、受け取った第三者が自主的な意思に基づく内容として投稿(表示)を行う場合
・「広告」、「宣伝」、「プロモーション」、「PR」といったSNS等で広く一般に利用されている文言による表示を行う場合
 ※ただし、上記の文言を使用したとしても、表示内容全体から一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっていると認められない場合もあります。
・「A社から提供を受けて投稿している。」等のように文章による表示を行う場合
・テレビCMのように広告と番組が切り離されている表示を行う場合
・事業者の協力を得て制作される番組や映画等において、スポンサー等の名称等をエンドロール等を通じて表示を行う場合
・サービス紹介自体が目的であるポータルサイトへの表示を行う場合
・事業者自身のウェブサイトにおける表示(特定の商品又は役務を期間限定で特集するページも含む。)を行う場合
・社会的な立場・職業等(例えば、観光大使等)から、事業者の依頼を受けて広告宣伝していることが社会通念上明らかな者を通じて、事業者が表示を行う場合

5.違反した場合

事業者に対して、以下のような措置命令が行われます。
措置命令が行われた場合、企業名をはじめとして措置命令の具体的な内容が、消費者庁HPにて公表されることになります。
ステマを行った企業であると世間に知れることとなり、企業の信用を失うことになりかねません。今後の売上などにも影響が出る可能性は十分に考えられるでしょう。

措置命令の内容例

・違反した表示の差止め
・一般消費者に対する誤認を取り除くために必要がある場合には、速やかに一般消費者に対する周知(例えば、新聞、自社ウェブサイト、店頭での貼り紙)及び回収を行うこと
・再発防止策を講ずること
・その違反行為を将来繰り返さないこと

6.とるべき対策

Google、Yahoo!など広告媒体社経由で表示された広告であれば、どのフォーマットも「広告」や「PR」等の表示がされており、ステマに当たらないため問題はありません。
一方、自社の従業員によるSNS等への投稿や、アフィリエイター、インフルエンサーなど第三者に表示の依頼をする場合は、注意が必要です。
社内含め関係者への規制内容の周知・啓発や、投稿内容の事前確認、違反した場合の対処など事前に社内ルールを明確にしておくことが大切です。

▼具体例

・あらかじめ、第三者(インフルエンサー、アフィリエイター)との間で法令遵守等を明確にしておくこと
・社内及び広告・宣伝を依頼する第三者への規定内容の周知・啓発
・法令遵守のための社内規定、行動規範を定める
  規制の内容や、規定違反が発覚した場合の連絡体制や具体的な回収等の方法、関係行政機関への報告の手順 などを予め確認しておく
・不当表示が明らかになった際に、迅速に 不当表示を削除・修正出来る体制を構築しておく
・第三者の投稿内容の事前確認 等

まとめ

日本では、2012年に複数の芸能人によるステルスマーケティングがあったことが判明した”ペニオク詐欺事件”が起こり「ステマ」という言葉が急速に認知されることとなりました。
スマホ1台で膨大な情報にアクセスできる現代では、ユーザーのネットリテラシーも年々向上してきていると思われます。インフルエンサーや口コミサイト等の投稿に対して懐疑的に思う方も多くなってきたのではないでしょうか。

私は以前、ネットで買い物をした際、届いた商品の中に「★5つのレビュー投稿で〇〇円分のチケットプレゼント」と書かれた紙が入っていたことがありました。その商品自体は良いものでしたが、レビューを操作している企業に対し残念な気持ちになったことを覚えています。

このように、ユーザーが「ステマ」と感じた場合、売上につながらないだけではなく、商品や企業に対しネガティブな印象を与えてしまう可能性も十分に考えられます。
規制を順守するとともに、企業のイメージを損なわないためにもユーザーに誤解を与えることのないよう気をつけたいですね。

自社の投稿がステマにあたらないかご不安な場合は、下記ボタンより是非プライムナンバーズにご相談ください!

Written By
S.S.

広告運用オペレーター/コンテンツライター

Web広告運用業界完全未経験で入社するも、持ち前の「なんとかなるか」精神でバリバリ現場をこなした結果、野生のプランナーとして自立。人生一度きりをモットーに現在は広告運用・コンテンツライティング業務の傍ら趣味で野菜を育てている。