【実例付】Microsoft(マイクロソフト)広告とは?最新ネット広告を運用してみた
Microsoft(マイクロソフト)広告とは、BingやEdgeなどマイクロソフトが提供しているサービスに広告配信できる新しい広告媒体です。日本でのリリースは2022年5月と約2年前ですが、Google・Yahooに次ぐ新しいWeb広告媒体として注目が高まっています。
弊社でも実際にマイクロソフト広告を運用してみたところ、Google・Yahoo広告のマイナーチェンジ以上の特徴があることがわかりました。
本記事では、マイクロソフト広告の特徴やターゲティングなど基本的な情報を解説します。さらにGoogle・Yahoo広告との成果比較や運用時の注意点など、実際に配信したからこそわかる情報についても解説します。今のうちにマイクロソフト広告についての基礎知識を身につけておきましょう。
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目次
マイクロソフト広告とは?
マイクロソフト広告とは、検索エンジンのBingやWebブラウザのEdge、ニュースサイトのMSN、メーラーのOutlookなど、マイクロソフトが提供するサービスに配信できる広告媒体です。
現在利用できる広告の種類は、以下の3つです。
- 検索広告(リスティング広告):検索結果画面にテキスト形式の広告を配信
- オーディエンス広告(ディスプレイ広告):Webサイトにバナーなどのクリエイティブを配信
- ショッピング広告:ショッピング枠に広告を配信
マイクロソフト広告はGoogle広告およびYahoo広告と広告の内容やターゲットが共通する設定が多いため、既にどちらかの媒体で広告配信しているならマイクロソフト広告も始めるのにそれほど手間はかかりません。
マイクロソフト広告の主な配信面
マイクロソフト広告の主な配信面は以下の3つです。
- Edgeのスタートページ
- Bingの検索結果
- Outlook
これらの配信面の傾向として、WindowsPCを使用するビジネスユーザーの利用が多いことが挙げられます。上記配信面の特徴について解説します。
Edgeのスタートページ
▲Edgeに配信されたマイクロソフト広告の例
Microsoft Edgeは、Windows10から標準搭載されたWebブラウザです。初期設定のままネットを使用しているユーザーは、Edgeを使用していることになります。
日本のPCで使用しているブラウザの割合では、Edgeは23.6%とGoogle Chrome(69.7%)に次ぐシェアを誇っています。
▲Webブラウザのマーケットシェア推移(引用:Desktop Browser Market Share Japan | Statcounter Global Stats)
Bingの検索結果
▲Bingに配信されたマイクロソフト広告の例
Microsoft Bingは、マイクロソフト社が提供する検索エンジンです。
Windowsに標準搭載されているため、Bing利用者の使用デバイスはほとんどがPCです。PCに限定した検索エンジンのシェアでは、BingはGoogle(73.0%)に次ぐ2位のシェア(15.8%)を誇っています。
BingはこれまでもYahoo広告から広告を配信できていました。ところがYahoo広告からBingへ配信される広告量は決して多くはなく、「ついで」程度のものでした。
しかしマイクロソフト広告ならYahoo広告よりもBingへの配信量が確保できるため、より効果的にリスティング広告の配信面を広げることが可能です。
▲日本のデスクトップブラウザで利用される検索エンジンシェア(引用:Desktop Search Engine Market Share Japan | Statcounter Global Stats)
Outlook
▲Outlookに配信されたマイクロソフト広告の例
Microsoft Outlookはマイクロソフト社のメーラーです。Windowsに標準搭載されており、WordやExcelなどのオフィスアプリとして連携できる点や、タスク管理ができる点からビジネスユーザーに使いやすく設計されているメールソフトです。仕事で会社員の方が多く利用している印象がありますね。
マイクロソフト広告で設定できるキャンペーンの目標
Google広告・Yahoo広告同様、マイクロソフト広告でもキャンペーンの目標を設定できます。選択した目標によって、設定できる広告の種類や自動入札の戦略が変わります。広告効果を最大化するためにも、慎重に選択してください。
マイクロソフト広告では以下のキャンペーン目標を選択できます。
➀Webサイトの訪問
→Webサイトへの流入数を増やしたい場合に選択
②自分の事業所所在地にアクセスする
→多くの人に店舗、オフィス、またはイベントに訪れてほしい場合に選択
③個人用Webサイトでのコンバージョン
→Webサイト上で実行された資料請求などアクションを計測したい場合に選択
④会社への電話
→ユーザーから会社の電話番号に電話させたい場合に選択
⑤アプリのインストール
→モバイルアプリのインストールを促進したい場合に選択
⑥カタログ商品から販売する ショッピング
→ECサイトなどで商品の購入を増やしたい場合に選択
⑦広告の表示回数 オーディエンス
→広告を多く表示し、ブランド認知度と知名度を高めたい場合に選択
キャンペーン目標と利用できる広告の種類の対応です。
キャンペーン目標 | リスティング | オーディエンス | ショッピング |
サイト訪問 | ◎ | ◎ | – |
事業所アクセス | ◎ | ◎ | – |
コンバージョン | ◎ | ◎ | – |
電話 | ◎ | ◎ | – |
アプリ | ◎ | – | – |
商品販売 | – | – | ◎ |
広告表示 | – | ◎ | – |
マイクロソフト広告のターゲティング
続いてマイクロソフト広告で設定できるターゲティングについて解説します。
Google・Yahoo広告で設定できるターゲティングと同一なものが多いですが、一部マイクロソフト広告では設定できないターゲティングもあります。
まずは、マイクロソフト広告で設定できるターゲティングを紹介します。
➀キーワード(※リスティング広告のみ)
設定したキーワードを検索したユーザーに広告配信が可能です。Google・Yahoo広告同様、キーワードはマッチタイプ(部分一致・フレーズ一致・部分一致)も合わせて設定します。
②ユーザー属性(※一部日本未対応の属性あり)
広告配信するユーザー属性を指定することができます。マイクロソフト広告では以下の属性でターゲティングができます。
・年齢
→「18~24」「25~34」「35~49」「50~64」「65~」の範囲から設定。
・性別
→「男性」「女性」から設定できます。
・会社名
→特定の会社で最近働いていたユーザーをターゲティング
・業界
→特定の業界で最近働いていたユーザーをターゲティング
・職種
→特定の職種経験を持つユーザーをターゲティング
※会社名・業界・職種のターゲットはLinkedInのプロフィール情報をもとにターゲットします。
これらはマイクロソフト広告特有のターゲティングですが、2023年2月時点では、アメリカ・カナダ・英国・フランス・ドイツ・オーストラリアを対象とするキャンペーンでのみ使用できます(日本対象キャンペーンでは設定不可)。
③地域
主に次の地域ターゲティングが利用可能です。
・国、州、県、郵便番号ターゲティング
・ランドマークターゲティング
・半径ターゲティング
→半径でターゲットを設定し、範囲をマイルまたはキロメートル単位で指定
有名なスポットなどのランドマークからの半径指定も可能
・意図または関心のターゲティング
→選択した地域で広告を検索または閲覧しているユーザーをターゲットに設定
・地域ターゲットの制限を緩和
→設定するターゲット数の上限を引き上げ、キャンペーンと広告グループごとに最大1万人を含める/除外することができる
・マップコントロール
→ターゲットに設定または除外した地域を枠で囲って表示する
→マップ コントロールにターゲットを追加したり、逆に削除することもできる
地域に基づく広告のパフォーマンスの詳細は、地域レポートで把握できます。
④デバイス
広告配信するデバイスを指定できます。デバイスは「コンピューター」「スマートフォン」「タブレット」から選択可能です。
⑤オーディエンス
利用できるオーディエンスターゲティングは下記のとおりです。
種類 | 詳細 |
カスタム オーディエンス | 購入履歴、顧客生涯価値、在籍期間、サブスクライバー タイプ、最終購入からの経過時間、顧客紹介価値などに基づいて顧客を絞り込む |
組み合わせリスト | 既存のオーディエンスリストを”AND””OR””NOT”条件で複数組み合わせる |
顧客の一致 | 顧客が共有したメールアドレスを使用したターゲティング |
動的リマーケティング リスト | Web サイトで閲覧、検討、または購入された商品に基づいて、特定の顧客に特定の商品の広告を表示する |
購買意向の強いユーザー | Bing における検索とクリック、Microsoft サービスにおけるページ ビューなど、特定のカテゴリ内で購入意図を示している顧客をターゲティング |
LinkedIn プロフィール | LinkedInのプロフィール情報に基づいて潜在顧客をターゲティング(会社名、業界、業種) |
リマーケティング | 以前に Web サイトにアクセスしたことのあるユーザーに再度アプローチする |
類似オーディエンス | すでにターゲットにしている人物と行動や属性が似ている新規顧客をターゲティング |
参考ページ:Microsoft広告ヘルプ オーディエンスの作成
マイクロソフト広告では設定できないターゲティング
Google・Yahoo広告で設定できるターゲティングのうち、マイクロソフト広告では設定できない主なターゲティングを紹介します。
- プレースメント(広告配信先)の指定
- コンテンツ(WEBサイト)を対象としたキーワード配信
- アフィニティカテゴリ(興味関心ターゲティング)
- ライフイベント
- サーチキーワード
リスティング広告は、Google・Yahoo広告とほぼ同様のターゲティングが可能です。一方オーディエンス広告は、興味関心などの広告配信対象を絞る一部のターゲティングは不可能です。オーディエンス広告実施の際は、リターゲティングなどから始めるのがよいでしょう。
マイクロソフト広告の入稿素材
続いてマイクロソフト広告を入稿する際に用意するクリエイティブを紹介します。
リスティング広告とオーディエンス広告のクリエイティブは、Google・Yahoo広告のフォーマットとほぼ同じです。そのため現在Google・Yahoo広告を運用している場合は、マイクロソフト広告にそのまま使えます。
リスティング広告の場合
現在のリスティング広告は、媒体を問わず「レスポンシブ検索広告」というフォーマットが主流です。
レスポンシブ検索広告とは?
ユーザーが検索した言葉やユーザーの属性に合わせて、あらかじめ入稿しておいた複数パターンの広告の見出しと説明文から、最もクリックされやすいとAIが判断した組合せが表示される運用型広告の一種。
レスポンシブ検索広告の入稿規定は以下のとおりです。
➀ヘッドライン
→広告の見出しとなる部分。
最大15個まで設定でき、広告掲載時は最大3つが選択される。
1つの広告見出しの長さは最大半角30文字。
②最終的なURL
→広告をクリックした際にリンクされるサイトのURL。
③パス
→広告に表示されるURLの後に表示されるリンク先の内容を簡潔に示したもの。
文字数は半角15文字まで。設定は任意。
④説明文
→広告の下部に表示される説明文。
最大4個まで設定でき、広告掲載時は最大2つ選択される。
1つの説明文の長さは最大半角90文字まで。
▲レスポンシブ検索広告の配信例
使用可能な記号などの細かい規定は下記をご参照ください。
規定を守っていないと入稿できない・審査に落ちてしまうなどトラブルの原因となります。
入稿前に必ず確認するようにしましょう。
参考ページ:Microsoft広告ヘルプ テキストに関するガイドライン
オーディエンス広告の場合
オーディエンス広告(ディスプレイ広告)の主流は、「レスポンシブディスプレイ広告」です。
レスポンシブディスプレイ広告とは?
複数の画像・広告文を設定することで、広告枠に応じて最もクリックされやすい画像、広告文が選択される運用型広告の一種。
入稿素材は以下のとおりです。
➀短い見出し
→広告に表示される見出しの短い方。
半角30文字まで、最大15個。
②長い見出し
→広告に表示される見出しの長い方
半角90文字まで、最大5個。
③広告テキスト
→広告の配置に応じて、広告見出しの下または横に表示されるテキスト。
半角90文字まで、最大5個。
④会社名
→広告に表示される会社名。
半角25文字まで設定できます。
⑤画像
ファイル形式はjpegまたはpngのみ対応。
縦横比 | 推奨アス比 | 最小アス比 |
1.91:1 | 1200×628 | 703×368 |
1.78:1 | 1200×674 | 624×350 |
1.5:1 | 1200×800 | 300×200 |
1.33:1 | 1200×902 | 100×75 |
参考ページ:オーディエンス広告画像のベスト プラクティス
▲レスポンシブディスプレイ広告の配信例
リスティング広告3社(Google・Yahoo・マイクロソフト)成果比較
以下の表は、弊社でマイクロソフト広告のリスティング広告を実施した際の成果を他媒体と比較したものです。
Google・Yahoo・マイクロソフトの3媒体間で、同期間・同キーワード・同広告文で実施した際のクリック率・クリック単価・コンバージョン率・コンバージョン単価を比較しています。
媒体 | クリック率 | クリック単価 | CV率 | CV単価 |
マイクロソフト | 6.55% | ¥54 | 0.95% | ¥7,993 |
9.15% | ¥475 | 2.77% | ¥25,282 | |
Yahoo | 8.71% | ¥113 | 0.75% | ¥22,576 |
マイクロソフト広告の成果で特筆すべきは、クリック単価の低さです。
リスティング広告のクリック単価はオークションで決まります。現在マイクロソフト広告はGoogle広告・Yahoo広告と比較すると広告出稿している企業が少ないため、クリック単価がかなり低くなっていると予想されます。
出稿するキーワードや競合の有無によって成果は変動すると思われますが、Google広告・Yahoo広告と比較すると、クリック単価は抑えやすいでしょう。クリック単価が抑えられると、広告費用も抑えられます。
マイクロソフト広告運用時の注意点
マイクロソフト広告はまだ実施したことがないという人も多いため、ノウハウが広まっていません。マイクロソフト広告には、ほかのネット広告媒体とは異なる注意点があります。Google・Yahoo広告と同様に考えていると、思わぬ苦戦をすることもあります。
弊社がマイクロソフト広告を運用した際に、困ったポイントを何点か紹介させていただきます。
1.広告の審査時間がかかる
Google・Yahooのリスティング広告は、審査に1~3営業日かかると公式で発表されていますが、実際は当日中に審査が終わることも多いです。この感覚でマイクロソフト広告を入稿すると、審査が終わらない可能性があります。マイクロソフト広告の審査には2営業日以上かかることを考慮して入稿してください。
2.審査基準が謎。同じ広告でも審査に落ちたり通ったりする
Google・Yahooと比較してマイクロソフト広告は審査基準が不明瞭です。マイクロソフト広告のヘルプに審査基準の記載がありますが、細かな基準まで記載されているわけではありません。同じ広告でも入稿したタイミングによっては、審査落ちしたり、逆に審査通過したりすることがあります。
また広告が審査落ちした際に、何が原因かが明確にならないため、広告の修正ができない可能性もあります。この場合も広告を再入稿する必要が出てきますが、再入稿した広告にも審査期間を必要とするので、どんどん広告開始日が遅れる可能性もあります。
審査の制度は日々改善されていると思いますが、場合によって広告審査不承認が続く可能性があることは知っておく必要があります。
リスティング広告はGoogle・Yahoo!・マイクロソフトの時代が来る!
長らくGoogle・Yahooの2媒体で市場を寡占していたリスティング広告に、「マイクロソフト広告」という新しい選択肢が生まれたことで注目されています。
今後はGoogle・Yahoo!に加えてマイクロソフト広告を広告運用プランに含めることで、より全体の広告成果を向上させることにつながるでしょう。
既にGoogle・Yahooでリスティング広告を実施している場合は、キーワード・広告文を新たに用意する必要はなく、すぐにマイクロソフト広告を開始できるという利点もあります。
2023年現在、マイクロソフト広告を出稿している企業はまだ少ないです。競合の少ない今の時期だからこそ、マイクロソフト広告の活用をぜひご検討ください。
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